K先生のマイクロバブル風呂生活の効果が徐々に明確になってきました。3ヶ月
が過ぎてマイクロバブル談義がいよいよ盛り上がってきました。まずは、巨漢のK
先生が、「痩せた」といってきました。
「やはり、そうですか。どのくらい痩せましたか?」
「3ヶ月で約6kg痩せました」
この「3ヶ月6kg」という数字には、ほかにも同じ事例があり、どうも共通性がある
ようです。それを踏まえ、次のように質問してみました。
「痩せられた原因は何だと思いますか?」
こう尋ねられ、K先生は、はたと困りました。お風呂で汗をかくようになったことし
か思い浮かばなかったからでした。
「ほかに何か変わったことはありましたか?」
「何もありません」
「そうですか、以前ほど食欲が出なくなったことはありませんか?」
「食欲?」、こう聞かれ、返答に困りました。
「そういわれてみれば、あれほど好物だったトンカツを食べたいとは思わなくなっ
ている、これはどういうことか?」
K先生は、こう思いを廻らしまし、「そうだとしたら」、不思議なことだ思い始めてい
ました。
K先生は、関東のT県の出身地であり、ここでは、肉といえば豚肉を多く食べる習
性があり、K先生にとって、幼いころからの好物がトンカツで、毎日食べたいと思う
ほどのものでした。ところが奥さんは、Y県出身ですから、しかも海のそばですか
ら、どちらかといえば魚が主食であり、この好物の違いがもとでよく夫婦喧嘩が起
こっていました。
「そういえば、あまりガツガツ食べなくなりました」
「そうでしょう、お風呂はいつ入られますか?」
「夕食前です」
「やはりそうですか、お風呂に入ると食欲が以前ほどではなくなったのではないで
すか?」
「そ、それは、どういうことですか?」
「どうやら、マイクロバブルが満腹中枢という神経を刺激して、満腹感を覚えさせ
るようです。これは温泉に入って刺激を受けることでも起こる現象のようです」
K先生は、この3ヶ月間を振り返り、
「そういえば、そのようだ、たしかに、食欲が以前ほどでなくなり、女房が出した料
理をそのまま食べるようになっている、あれほどトンカツであれば毎日食べたいと
思っていたのに、そのように思わなくなっている。これは、いったいどういうこと
だ!」
と、思いました。「吃驚仰天」とは、このことでした。結果的に、満腹感の創出のため
に食べる量が減り、痩せられたのでした。
「夫婦喧嘩も減ったのではないですか?」
ずばり、核心を突かれ、それも認めざるを得ませんでした。
「どうして、そんなことがわかるのですか」
水木しげるの妖怪のような「怖いもの見たさ」の心理が湧き出て、思わず訊き返し
ました。
「それには、これまでにも、同じ事例があり、典型例は、『鱧』ですよ。あの獰猛な
鱧が借りてきた猫のようにマイクロバブルでおとなしくなります。先生も鱧になった
んですよ」
「鱧? そういえば、『マイクロバブルのすべて』で鱧のことが紹介されていたが、
自分もあの鱧になったのか!」
「そうですよ、あの鱧になったのですよ。お風呂に入るだけで、夫婦が喧嘩をしな
くなる。これはとても驚きで、そしてよいことですよ」
私にも、その事例が当てはまりましたので、すこし実感を込めて、そういいました。
そういえば、昨日は、煙草を家に置き忘れ、いつもだと、それがポケットに入って
いないと1日中イライラするのに、それがなんともありませんでした。
「これも、マイクロバブルの効果ですかね?」
「そうだと思います。副交感神経を刺激してとてもリラックスできますので、それが
作用したのでしょう。それから、心身のバランスが良くなったのでしょう。風呂上り
に、なんとなくそう思いませんか」
「気分爽快ですね!」
このように指摘されると、いくつも思い当たることがあるので、それを認めるしか
ない、このように思うようになり、マイクロバブルウオッチャーとしてのK先生の目は
ますます洗練化されるようになりました。
コメント
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コメントありがとうございます。結論から先にいいますが、私は「そんなに優秀な先生」ではありません。ですから、大学教授ではなく、「高専教授」に留まっています。過去を振り返りますと、そのような話がなかったわけではありませんが、その選択において、現在の方がよいと判断したこともあり、それは誤りではなかったと思っています。
若いころには、ご指摘されたことのように考えていた部分もありますが、この歳になりますとそれもかなり変わってきました。つまり、大学よりも高専の方が、考え方しだいで優れていると思いはじめました。とくに、マイクロバブルに出会ってからは、その思いを強めることになりました。
これまでに、大学の先生方とも少なくない共同研究をしてきましたが、逆に大学の先生は大変だなと思うことがしばしばありました。たしかに、研究環境を大学と比較しますと高専が劣っていることは間違いありません。しかし、その方がかえって工夫のし甲斐があり、そこから生まれてくるアイデアが貴重である場合もあり得るのです。今、振り返り、何よりも大切なことは何かを考えますと、与えられた条件下でしっかり考え、不利な条件を十分ではなく、十二分に生かすことができれば、その方がよいに決まっており、その十二分の修行を行うところが高専と思っています。
マイクロバブル発生装置の開発は、足かけ25年以上になりますが、今頃になって、最先端を歩んでおられるといわれている有名な大学教授が、それを購入して研究を開始するという状況がいくつもあります。それから、かつての私のライバルであった大学教授は工学部長にまでなりましたが、その方の大学教授としての目標は、自分でドクターを10人育てることにあるといわれていました。おそらく、その目標は達成されたと思いますが、それでどうだったかということが、定年を前にして問われているのだと思います。
同じ、問いかけを私自身にするとすると、ドクターは2人しか育てられませんでしたが、マイクロバブルという新技術の創出を行うことができたわけで、後世の方のある方は、それらの生き方の比較に興味を持たれるかもしれません。マイクロバブルのおかげで、しかも高専教授として、その新技術を社会の中に打ち立てるダイナミックな問題に出会うことができました。「わが人生に悔いはなく」、ここには、ひそやかですが、高専教員としての「一分」があるような気がしています。大学にあこがれることは大切なことです。しかし、現実の高専教員であることにも誇りを持てる「一分」があるように思われます。
コメントありがとうございます。兼業の件についてですが、大学と高専は同じ扱いを受けていますので、それを踏まえて返答させていただきます。周知のように、大学と高専は、2004年に、その形態は異なるものの独立行政法人化されました。これを契機に、いわゆる規制緩和がなされ、大学においては1500を超える数の「大学発ベンチャー」が出現しました。ここでは、大学教員が、そのVB企業の役員になれるようになり、大学教員との「兼業」が許可されるようになりました。これは、高専も同じで、それに準じた高専VBにおける兼業も許されるようになりました。ですから、これらのVBに関する兼業については、公務員としての違反行為には該当しない、これが現状です。もしこれに該当するようであれば、多くの大学教員が違反となり、大変なことになりますが、そのようなことは起こっていません。
また、具体的にはVB㈱ナノプラネット研究所のことを指すと思われますので、それとの関係は、その設立を支援し、その後も技術移転を含めて、その支援を継続している、これが実態です。しかも、それは「兼業」としては許可されていませんので、その「兼業違反」にはなりようがありません。
高専VBについては、大学ほどの手厚い支援がないことから、粘り強い持続的な支援を行っていく必要があり、まさに献身的な努力が要求されます。その技術開発、商品開発、さらには企業経営など、もろもろが試されており、「ベンチャー」としての資質が問われています。なお、㈱ナノプラネット研究所は、その代表者が山口大学の学生でもあることから、「山口大学発ベンチャー」として正式登録されています。