暑い夏の土曜日です。本日は、久しぶりに時間がゆっくり取れそうです。また、本

日は、本ブログへのアクセス数が急伸(きゅうしん)しているようで、ありあがたく

思っています。それでは、マイクロバブル物語を続けることにしましょう。


(4)マイクロバブルの誕生(たんじょう)

 私は、マイクロバブル、小さな気泡です。私は、小さな円筒状の装置から生まれま

すが、いまだ、その発生までには至っていません。

 そこで、これまでのことを少しまとめてみましょう。

 ①水と空気を同時に円筒状の容器内で回転させると、遠向心分離がおきて水と

空気が別れ、その中心軸上に竜巻のような回転する空気の部分ができます。

 ②この回転速度が毎秒400~600回転という、超高速で回転させることが重要

です。

 ③高速で回転するものと比較してみると、「生物モーター」との同一性が注目され

ます。

 ここまでは、水と空気が同じ速度で回転していますので、水と空気が触(ふ)れ合

う面、これを界面(かいめん)といいますが、そこでの摩擦は発生しません。水も空

気も同じ速度で回っていますので、その界面は滑らかのままです。


Kousoku1  左は、装置内で高速回転している様子です。中央の黒い部分が、回転して

いる空気の部分です。その上下は水が回転している部分です。この水と空気

の間の界面は滑(なめ)らかなので、水と空気が同じ速度で回転していること

が明らかです。

 

 ここで、装置の出口をせまくしますと、外側の水の部分は壁との摩擦作用(まさつ

さよう)のために、その回転速度が遅くなります。ところが、空気の部分は、その影

響を受けませんので、同じ回転数で回ろうとします。

  その結果として、この空気の回転部分も影響(えいきょう)を受け、変形をうけるよ

うになります。それは、ストローのような円形状から、半円形、そして「きしめん」の

ような形に変形していきます。

 このとき、水と空気の界面で強い摩擦(まさつ)が発生します。つまり、水のなか

で、「半円形」、そして「きしめん(リボンの形と同じ)」のような形状の空気層が回転

するのです。古代人は木をこすって火をおこしましたが、それと同じで、この場合

は、水と空気が高速で回転しながらこすりあい、摩擦による熱(ねつ)が発生しま

す。温度計を装置の中にいれると水温よりも、2、3度高い温度になっていることか

らも、そのことが分かります。

 また、この様子を高速度カメラで撮影しますと、秒速1万コマの1コマのなかで、そ

の摩擦が発生している部分で、きらりと光っている小さな部分も観察できます。つま

り、この摩擦がおこることによって、気体が光を発している可能性が見出されまし

た。

Kousoku2
 左は、回転する気体の部分が、出口付近で変形して

いる様子を示した高速度カメラの写真です。この右側

の部分が変形して「きしめん」のような形状にさらに変

形します。


 


 この回転する気体部分の幅が出口に向かって大きくなり、そして出口から出て行

きます。このとき、出口の前後で回転数が異なり、その結果として、この気体部分が

高速の回転速度差で切断されることによってマイクロバブルが発生します。

 これは、ぞうきんを左と右の手でしぼるときの様子に似ています。右手の方が出

口から出たあとで、左の方のぞうきんをしぼる回転が速く、右手のほうが遅くなると

その左右で回転速度の差が生まれ、ぞうきんがしぼられ、切断されるということに

なります。

 このようにして、すこし複雑ですが、私(マイクロバブル)が生まれるのです。私

は、大量のなかまたちといっしょに生まれます。私たち、ひとりひとりの力は小さい

のですが、それがたくさん集まると小さくない力を発揮(はっき)するようになりま

す。次回は、この力について考えてみましょう。

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