最近は、このブログを書きながら、ある映画のことを思い浮かべることが多く

なりました。それは、1995年にアメリカ南カリフォルニア大学(USC)に留学し

てしていたときに、その大学の学生だったメイ君と、この映画談義をした

「フォーレスト・ガンプ」という映画のことです。じつは、そのロケがUSCでも

あったと、かれが自慢していっていました。主演はトム・ハンクスですが、日本

でも流行った映画で、そのことを映画監督の山田洋次さんが、どこかの新聞で

紹介していた記事を読んだことがあります。

 メイ君は、その映画がとても気に入っていたみたいで、私に「それを見ろ」と

ビデオテープを貸していただいたことを思い出します。これは、アメリカ人が好

む、一種の人生物語であり、その背景には、プレスリー、ベトナム戦争、ニクソ

ンのウォターゲート事件などが次々に出てきます。その激動する流れのなか

で、人間の幸福とは何かを考えさせる良い映画で、帰国してからも幾度となく

繰り返して観てきた映画です。

 この映画の中に、フォーレストが、ある日突然走りだし、それを延々と続ける

シーンがあります。この走行中に、ナレーションでフォーレストの思いが流され

ます。

 「せっかく、ここまで来たのだから、もう少し行こう」

 「西海岸まできたのだから、ついでに東まで行こう」

 ここまで来たのだから、もう少し、もう少しを繰り返しながら、黙々と彼は走り

続けたのです。ここで面白いのは、彼にとっては走ることそのものが目的なの

に、周りは、そこに何か目的があるのだろうと盛んに、その理由を探そうとする

ことにあります。なかには、自分のビジネスに利用として、ちゃっかり、それで

儲ける人まで出てきます。また、途中からは、フォーレストの後に続いて走る人

々までできるようになります。

 そこで、このフォーレストにあやかり、ここまで書き続けてきたのですから、そ

れを続けることにしましょう。例によって、MKの会話を再開しましょう。

 M:温度1℃の違いは、季節においては約1ヶ月に相当します。海の現実

は、海水高温化で約1℃上昇していますので、これは、季節が約1ヶ月早く進

行していることに相当します。ですから、カキにとっては、春から夏にかけての

季節においては、早く夏が来ることを意味します。すでに述べてきたように、カ

キは、この夏に備えて十分生育し、立派な身体になって産卵をし、子孫を残す

という最も大切な使命を果たさなければなりません。ところが、1℃の高温化は

その成長期間をなくすに等しいことで、すぐに未熟児のような身体の状態で排

卵をせよといっていることと同じ状況に陥らざるをえなくなるのです。

 K:それは困ったことですね。夏場に向かう間に、十分成長することが大切な

のですね。
 

  M:その通りです。この夏場に向かう時期は、稚貝から成貝に向かう成長促

進がなされる時期ですから、とても大切な時期なのです。広島の場合、冬場

は、「抑制」といって、わざと成長を抑える方法でカキを鍛え、それを経て春か

ら夏に向けて一気に成長させるという方式が開発されています。ですから、こ

の稚貝段階でマイクロバブルを与えるのが最も効果的といえます。

 
K:そうですか。マイクロバブルを与えた場合とそうでない場合で、どのくらい

違うのですか?

 
M:K君、それは良い質問です。実際に、マイクロバブルを与えた貝で、それ

を計ってみましたが、なんと4~5倍ほどの成長差がありました。この差を重量

比でいいますと、約2倍の違いでした。これらの数字からも明らかなように、マ

イクロバブルを稚貝に与えることは、その後の成長に決定的な差異をもたらす

ことが判明しました。
 

 K:そんなに違ったのですか。そうすると大きくなってからは、どのような違い

になったのですか?
 

 M:「抑制」されたカキの場合では、5か月後のマイクロバブル育ちのカキ

が、通常の2年経過したカキよりもはるかに大きく成長するという結果が得ら

れました。おおざっぱにいえば、生育期間が4分の1に短縮されたことが、そ

の稚貝段階における成長差に依存しているのではないかと思われます。

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