秋口になって、カキにマイクロバブルを供給すると、マイクロバブルとともに下部
の海水が上昇し、その海水表面の温度が約1℃減少することで、カキは、その1℃
に相当する1ヶ月分だけ早く、その対応を開始し、「産卵」から「身入り」に移行して
いきました。この移行によってグリコーゲンがより蓄積されて体力が増強され、より
身入りが進んでどんどん成長していきました。
このように、夏と秋に向かう両時期において、産卵および身入りの制御をマイクロ
バブルの供給が可能としたのです。
これはとても巧妙な産卵制御法であったといえます。地球温暖化の影響で海水の
表面温度が上昇してきていますが、マイクロバブルの供給法は、それに逆らう重要
な水温減少方法となったのです。
以上を振り返りますと、マイクロバブルのカキへの供給は、次のような効果をもた
らしました。
①マイクロバブルによる体力増強で、カキの斃死防止を実現させた。
②マイクロバブルによる酸欠改善を実現させた。
③マイクロバブルでカキの血流促進による生理活性を実現させた。
④水温減少による夏口および秋口における産卵防止および身入りを実現させ
た。
⑤稚貝段階における抜群の成長促進、成貝におけるグリコーゲンの大幅蓄積を
可能とさせ、味覚を向上させた。
これらは、マイクロバブルによる生物活性に関する重要な成果となりました。そし
て、その後の研究の有力な糸口ともなっていきました。
また、その後、本マイクロバブル技術によって、広島カキ養殖史上初の460年ぶり
の真ガキの夏出荷も可能となりました。これもじつに重要な快挙となりました。
これらの成果を、NHKニュースセブンは次の連続3回にわたって報道しました。も
ちろん、全国的に大変な評判が生まれました。
①NHKニュース7、1999年6月24日
②NHKニュース7、1999年12月20日
③NHKニュース7、2000年8月20日
同時に、この報道によって社会的評価を受け、その責任も重大なものとなりまし
た。それは、私自身にとってもマイクロバブル研究を本気で行うかどうか、それを
真に問うものでもありました。
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