K:ところで、世界的に厳しい経済状況のなかで、今年を「ブレイクスルー元年」と

位置付けておられますが、それには、どのような意味付けがなされているのでしょ

うか。

 M:マイクロバブル発生装置を世に出したのは1995年ですが、それ以来14年が経

過してきました。当時は、「マイクロバブル」という用語が、造影剤の分野でわずか

に使われているのみでした。数年前までは、インターネットで検索しても、私の関係

のものがわずかにあるのみでした。それが、たとえばヤフーで同じ用語を検索して

みますと、今や130万件にも達するまでになりました。まさに、隔世の感ありですが、

その裾野がようやく広がってきたのだと思います。その意味で、非常に重要な取り

組みであったと思っています。

 K:そうですね。「マイクロバブル」、「マイクロナノバブル」、「ナノバブル」と、いろい

ろなものが出てきていますね。

 M:それも、裾野が広くなってきた証拠です。マイクロバブルの大半は、収縮して、

マイクロナノバブル、さらには、ナノバブルになっていきますので、一連の物理現象

と考えられます。その一部を取り上げて誇張する傾向もあるようですが、それは

あまり意味のある事とはいえません。それから、何といっても、その機能性が重要

であり、それが示せないと、唯の泡となってしまいます。その意味で何に役立ち、何

に使われるかが非常に重要なことといえます。

 K:そのマイクロバブル技術の裾野が広がってきたことと、ブレイクスルー技術との

関係はどのように考えられているのですか。

 M:技術の発展においては、創成期、発展期、成熟期、衰退期の4つがあります。

おそらく、私の推測では、現在は、その創成期から発展期へ向かう、一番面白い時

期を迎えているのではないかと思います。大学や企業、さらにはいろいろな分野の

職業人がマイクロバブルに関心を寄せ始め、研究を行うようになってきました。同

時に、その研究成果を競い合い、学者は学会で発表し、企業では、その技術の確

立を目指しながら、現場で利用することも始まっています。

 これは、私を含めて創成期の一部の研究者が保持していた成果をブレイクするも

のであり、さらに、それらを踏まえて、さらに生きた有力な情報を得たいという大規

模な現象が発生しました。私が実行委員長として関わった3回の全国規模のマイク

ロ・ナノバブル技術シンポジウムにおいて常に200名前後の方々が参加され、活発

な議論がなされてきたことだけを取り上げても、そのことが明瞭です。

 そして、この裾野の広がりのなかで、「ブレイクスルー」が起こる可能性が出てきた

のではないかと思えるようになりました。

 K:その全国的なシンポジウムに私も参加させていただきましたが、それは大変

刺激的で迫力のあるものでした。私は文科系の人間ですから、専門的なことはよく

理解できなかったのですが、回を重ねるごとに、その内容が見事に変化し、発展し

ていったことは理解できました。じつは、大変なことをなされたのですね。

 M:マイクロバブル技術を特殊な研究者や企業に留めるのではなく、広く、その成

果を公表し、我が国において、その基盤形成を行う、この初期の目標を達成するこ

とができました。

 K:次のシンポジウムやセミナーの開催は考えられているのですか。その辺も気に

なるところです。

 M:シンポジウムは、第3回が2007年12月でしたから、それから約1年が過ぎまし

た。これは、学会の行事でもありますので、みなさんと相談させていただいて、その

可能性を検討したいと思います。また、比較的小規模のセミナーについては、これ

も評判がよく、前回のセミナーでは、長野県阿智村で開催し、ついでに、「光マイク

ロバブルを観る会」を設けたので,みなさんで大騒ぎになりました。夏までには、そ

の第4回を開催したいと思っています。

 K:さて、マイクロバブルとブレイクスルー技術の関係をどのように考えられていま

すか。

 M:この間、「ブレイクスルー技術」としての「マイクロバブル」、あるいは、「マイクロ

バブル技術」の「ブレイクスルー」を一貫して追及してきました。ブレイクスルー技術

とは、簡単にいえば、「生活や産業を一変させる」吃驚するほどの技術を意味しま

すので、マイクロバブル技術は、そこまでの発展を得るには至っていません。その

可能性は大いにあるのですが、そこに至るには、まだまだ未解決の問題がいくつも

あると思っています。おそらく、それらの問題を本質的に解決する事例がいくつも出

現してくることで、「ブレイクスルー技術」へと転化していくのではないかと思ってい

ます。

 K:その見極めは、なかなか簡単ではないようですね。大発展を遂げれば、だれ

の目にも明らかになるわけですから、その兆しや芽が出てきたところで判断すると

いうことでしょうか。それらを観て、これはブレイクするという確かな理解力、分析

力、見通し力が必要になってくるという話になりますね。

 M:その通りです。社会の中で起きている現象と研究成果を結びつけて、「これは

本当に発展する」、「ブレイクする」という判断力といいますか、「リアリズム的考察」

がとても重要になります。

 K:その判断力やリアリズムは、どのようにして生まれてくるのでしょうか。

 M:やはり、社会の中で起きていることをよく観察して、自分が行っていることを結

びつけて考えるといいますか、その「本質的思考」が重要になります。

 K:最近の記述には、その「本質的思考」とか「本質的現象」という言葉がよく出て

きますね。

 M:よく観察されていますね。その「本質的現象」の出現が、ブレイクスルー技術へ

転化していく契機となるのではないかと考えています。これらが連続的に発生する

ことで「小ブレイク」が発生し、それらがやがて「大ブレイク」へと点火していくのでは

ないかと想像しています

 K:本質的現象とは,具体的にいうと,どのようなものでしょうか。

J0402454