24日の講演発表終了後の質疑応答で、座長の先生から、「なぜ、高専では研究

レベルでの本当の連携が進まないのですか」という真摯な質問がありました。これ

に対して、私は次のように応答しました。

 「それは非常に重要なことです。なぜ、真の連携が進まないかということですが、

結論から先にいいますと、大学を含めて高専においても、研究という行為は個人

的なものと考えられているからです。社会的といっても、せいぜい企業との関係

に限られることが多く、ほとんどは、その枠内に限られることが多いところに問題

があります。 実際に連携を発展させるためには、それをオープンにし、みなさん

が、それに挑戦できるようにする基盤形成を行う必要があります。ですから、実

際に、その基盤形成ができるかどうか、それが一番の決め手になります」

 このことを実現するために、ベンチャービジネス企業をつくり、マイクロバブル発

生装置を安価で入手できるようにしました。これも、広く多くの方々が研究開発で

きるようにすることが目的でした。おかげで1000に近い企業や大学の方々が、そ

れを利用して研究するようになりました。それは今も続いていますが、それが、マ

イクロバブル技術の裾野を広げる現象のひとつとなったといえます。

 その利用者のなかには高専も含まれ、その数も徐々に増加しています。公開さ

れている研究情報のなかで、ご専門が「マイクロバブル」と記述されているかたを

時々見かけることがありますが、そのときには何となく親しさを感じます。そして、

つい、次のようにいいたくもなります。

 「学会でもリーダー的な先生方が、ようやくマイクロバブルに注目されて、その

発生装置を購入されるようになりました。じつは、みなさんは、その先生方と同じ

先端を追いかけておられることと同じですよ」

 さらに、高専では、高知高専の細川君のように、まじめ、そのもので、そのなか

に静かな闘志を燃やされて、マイクロバブルの研究開発をなされている方もおら

れます。昨年の夏に、高知からわざわざ私の講演を聴きに来られて大変嬉しそう

に眼を輝かせておられましたので、この学生は成長するであろうとひそかに期待

をしていました。それもあって、阿智村の浪合地区の日本一おいしいトウモロコシ

をさし上げたところ、かれは非常に喜んでおられました。

 以来、連日のように実験を続けられてきたようで、そのせいか、すこし顔が引き

締まっておられました。

 「細川君、相当頑張ってきたそうですね」

というと、にこっと笑われて、とてもかわいい表情になりました。

 ところが、そばにいたH先生が、彼のことで、こういいました。

 「かれは、本格的な実験を始めてから、それこそ2週間、寝ずによく頑張りました。

なにせ微生物が増殖している様子を調べるのですから、継続的な忍耐力が必要

で、かれには、それが備わっているようでした」

 「ようでした?」

 「はい、最初の2週間は、相当頑張ったのですが、頑張りすぎて病気になり1ヶ月

休むことになりました」

 「病気になった。それはいけませんね、細川君」

 こういうと何か原因がわからないウイルスによる病気であったことを、彼は私に

説明してくれました。

 「それは大変でしたね。そういえば、私の学生にも、そのような方がいました。じ

つは、朝方の3時、4時まで毎日実験をしていて、その学生が家に帰って寝ようと

したら、天井の四角い桟がぐるぐる廻り始めということを聞いたことがあります。こ

の学生と細川君も同じといえます。それにしても、細川君、天井がぐるぐる廻らな

くてよかったですね」

 こういうと、彼は、さらに笑顔を深くしていました。

 このように若い方が、真剣にマイクロバブルのことを研究されている姿は本当

に輝かしく、私にとってはかけがえのないものなのです。ここには、マイクロバブ

ル技術の裾野がさらに深く広がろうとしている姿があり、これこそ、「金的を射た」

事例のひとつにもなり得るような気がしました。

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