昨夜のテレビニュースのなかで、中国の温家宝首相がダボス会議出席のために

スイスを訪れ、高官と会ったときの挨拶のなかで、次の言葉を引用されていること

が耳に残りました。

 「危機」

 すなわち語呂合わせでいうと「KK」です。彼は、この言葉には、2つの意味がある

と、その挨拶のなかで説明されていました。

 「危」は「危うい」であり、そして「機」はチャンスを意味しているといいました。です

から「危機」という言葉には、「危うい」と「チャンス」が同居しているといいながら、今

の中国と世界の状況に触れた挨拶をされたようです。

 さて、その前者の方ですが、じわじわとその真の姿が明らかになりつつあります。

昨日は、テレビのローカルニュースおいて、液晶関係の会社の社員削減計画が報

じられていました。社員1700人のうち、正社員を含む1000人を解雇するというので

すから、これは尋常ではありません。

 さすがに、地元自治体の方が、解雇をしないでくださいと頼みに行かれ、その方も

報じられていましたが、その表情からは、あまり「危機感」を汲みとることはできませ

んでした。これは、私が食事のときに家族に、この解雇の話をした時に発せられた

「えっ!」という言葉のニュアンスとはかなり異なっているように思われました。

 この場合は、「危機」の「危」しかありません。1000人の職が奪われることで、その

家族も路頭に迷うことになります。

   これが地方で起ろうとしていることですから、深刻といわざるをえません。

 これに対して、海の向こうの新大統領は、グリーンエネルギーの開発によって約

400万人の新たな雇用を生み出そうとしています。この問題を授業で学生のみなさ

んと少し考えてみました。

 まずは、一人あたりの年収を300万円としますと、400万人では、約12兆円かかり

ます。仮に、新しいグリーンエネルギープラントを建設するとすると、その数をいくつ

にするかが問題になります。新たな雇用を生み出すには、可能な限り小プラントに

して、数を稼ぐほうがよいに決まっています。たとえば、日本のある原子力発電所

では、3000人程度が常時働いています。この原発一つで、関東地区の電力量の

15%を担うといわれています。これだと、生み出す電力量に対しての雇用数が極端

に少なくなり、新たな雇用は期待できません。

 となると、この新エネルギープラントは、可能な限り小さくして多数である必要が

あります。そこで、仮に、それを我が国に設置するとして、その数を1万個とすること

にしましょう。

   まずは、その建設費ですが、上述の12兆円程度かかるとしますと、その1個あた

りは、1億2千万円となります。山口県に100機建設するとすると、合計でその建設

費は120億円程度ですから、これはダムや下水道をつくるのと同じ程度の予算規

模になります。

 これだけでは不十分ですが、このエネルギープラントは、エネルギーを生み出す

ものですから、現在使用している電気代を大幅に節約できるはずです。それが県

民150万人で一人1万円としますと、合計で150億円ですから、すぐに上記の建設

費は浮くことになります。さらに、電力が余ればそれを売電するとさらに黒字収入

を得ることができます。

 そこで、そんなに「虫のいい」、あるいは「夢」のような話があるのか、それらの富

や黒字を生み出すほど効率のよいエネルーギーがあるのかという疑念が生じま

す。

 これに対して、私は、こう反論します。

 「海の向こうの新大統領は、その奇跡のようなことをやろうとしているのではない

ですか。そのために、15兆円もの補助金を出そうとしているのではないですか。そ

の国は、とてつもなく挑戦が好きな国ですから、本気になるとなんでもやってのける

底力を持っているのではないでしょうか」

 それに比べて、どこかの国の首相は、2兆円のお金をばらまくそうですが、これを

比較しますと、「なんだか泣けてくる」というコマーシャルソングを思いだします。この

2兆円があると、高専を全国に1000校つくることができます。それは今の20倍の数

になります。すべての工業高校、商業高校をすべて格上げして「高専」にすれば、

大変な人材育成システムを構築することができます。

 これこそ、越後の「米百俵の精神」であり、先人が示した教訓といえます。

 それにしても、1000を超える高専が我が国に出現したら、それはじつに壮観であ

り、みなさまに勇気を与えるものとなることでしょう。

 たとえ100校でも、その壮観さには変わりはありません。

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