M:先日、テレビを見ていましたら、言葉巧みな東海大准教授の女性キャスター

が、次のように、新進気鋭の有名国立大学の准教授に尋ねていました。

 「最近、『グリーン・ニューディール』という言葉が頻繁に出てくるようになりました。

簡単にいえば、『グリーン』は『環境』、『ニューディール』は『経済』のことを意味して

いると思いますが、具体的に、我が国では、どのような技術のことをいうのです

か?」

 「ずばり、それは何ですか?」と、その女性キャスターが尋ねるのですが、それに

答える側の歯切れがあまりよくありません。何度か、その質問を繰り返して、やっと

出てきた事例が、住宅の「断熱板」であり、「これで相当のエネルギー節約が可能に

なる」と仰られていました。しかし、この返答は、あまり明快ではありませんでした。

 そのキャスターは、おそらく、その返答に不満だったのでしょう。さらに続けて、「お

隣の国では、『グリーン・ニューディール』とは、結局、『道路づくり』である、というこ

とになりそうです。日本も、そうなってしまう心配はないでしょうか?」とまで質問して

いました。

 さすがに、「日本もそうなるでしょう」とはいいませんでしたが、回答側は、相変わ

らずの歯切れ悪さで、「断熱板」以外の事例は、とうとう最後まで出てきませんでし

た。

 K:「そういう専門家がきちんといえない」ということは、「いったい何を意味するか」

ということですよね。これは非常に重大な問題であるように思います。

 M:やはり、その事に今の日本の状況が見事に反映されていると思いました。そ

れは、その先生の「歯切れの悪さ」に原因があったわけではなく、もともと、「グリー

ン・ニューディール」を体現できる実体が生まれてきていないことに真の原因がある

と思いました。その女性キャスターは、「グリーン」よりも、「ニューディール」の方が

優先される、つまり「より重要なのではないか」という趣旨のことをいわれていました

が、私は、むしろ、その意見に賛同しました。

   K:先ほど、「ニューディール」は「経済」を意味するといわれましたね。ということ

は、どういうことなのでしょうか?

 M:おそらく、雇用を生み出す、あるいは富を創りだす新たな技術、産業、経済社

会などを生み出すことを意味するのではないかと思います。別の表現を用いれば、

「新たな社会経済的価値を生み出す」ことであるともいえます。

 K:なるほど、少し理解が進みましたが、その「社会経済的価値」を新たに生み出

すことは、なかなか容易ではありませんね。

 M:その通りです。ですから、すぐに「有効な方法はこれだ!」という見解は出てこ

ないのです。アメリカのオバマ大統領も、約15兆円の補助金を出しながら、500万人

の雇用を生み出す「グリーンエネルギー」開発を行うという意向を示していますが、

その切り札は何かは、今のところ明確になっていません。

  K:そこで、「ブレイクスルー技術」との関係が重要になるのですね。

 M:簡単にいえば、「グリーン・ニューディール」を生み出す「ブレイクスルー」が必

要である、そして、それをどのようにして実現するか、それが重要な課題となりつつ

ある、それが今日的課題になってきたということだと思います。

                                              (つづく)

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