年度末になり,なにかと慌ただしい日々を送っています.学生たちも,試験,発表

会など一連の行事をこなしていきますので,なかなか大変です.

 昨日は,専攻科生の研究発表会があり,私の研究室のK君も発表を行いました.

彼の発表は,マイクロバブルの血流促進に関するものでした.気体の種類を変え

たときに,その血流促進の状況がどのように変化するかを調べるものでした.

 周知のように,空気の組成は,酸素と窒素が1対4の割合で成り立っています.で

すから空気マイクロバブルの場合は,これらの成分がどのようにふるまうのかが問

題になるのですが,それを正確に調べることは,その手法の確立も含めてなかな

か容易なことではありませんでした.

 K君の実験も,昨年夏から断続的に繰り返されてきました.彼が得た実験結果を

尊重することにしていましたが,どうしても,それを全面的に信用できない部分もあ

り,再実験が必要であると思っていました.年が明けて,その時期がきたと思い,か

れを含めて再実験を行いました.結果的に,非常に微妙な問題でしたので,最初

は,かれが出した結論と同じ傾向のデータが得られていましたが,途中から,それ

とは異なる結果が出始めました.

 その結果を得て,「やはり,そうか!」と思い,実験を継続していくと,その新しい

結果が連続して得られるようになり,それを含めて非常に微妙な問題であることが

判明してきました.それは,空気の組成成分のそれぞれに関するマイクロバブル実

験を行ったものでしたが,この教訓は,粘って粘って,実験を丹念に繰り返して行う

ことの重要性にありました.K君も,最後に,その重要性を理解したようで,それを

含めた成果を発表しました.

 これで,彼も私も,すっきりしました.そして,これからの研究の展望も描けるよう

になってきました.この間,K君とは,何回も議論を重ね,かれの認識の発展を促し

てきました.これもかれにとっては,非常に重要なことで,私にとっては,「粘り勝ち」

になりました.

 この結果については,もう一人のK君とじっくり語りあってみたいと思っています

が,その時には,一段と,かれの瞳が輝くであろうと推察しています.

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