油谷湾の素晴らしい眺望を目の前にして、岡藤社長、中村支配人と温泉談義を

楽しみました。

 まず、楊貴館のことについて尋ねてみると、このホテルの成り立ちから説明してい

ただきました。この創業には亡くなられた先代の社長さんが大変ご尽力されたそう

で、このホテルが徐々に発展していった経緯が説明がなされました。どうやら、この

先代の社長さんは、大変な事業家だったようで、いろいろな地域振興に取り組まれ

た「夢とロマン溢れる方」だったように思いました。

 この温泉についても、雪が降ったときに、一ヶ所だけ雪が積もらないところがあり、

そこを先々代が発見され、その温泉開発に着手され、それが発展して今の立派な

ホテルになったとのことでした。

 こうして今の優れた眺望の海岸線にホテルが建てられ、しかも、長い間、自前で

工夫されて、ひいきの温泉客を独自に集めてこられたのだそうです。少し、交通の

不便なところですが、この景色とこのホテルのおもてなしに魅了されたお客さんが

少なくなかったのではないかと思います。

 こうして、先の2つの疑問はすぐに解消、温泉の量が少ないので、1温泉1ホテル

でしか成り立たないこと、そして建物の外観よりは、景色と中身、これが充実してい

ることもすぐに判明しました。

 そこで、いよいよ本題の温泉質について検討を行うために、温泉成分表を見せて

いただきました。これを見ていると、「おやっ!」と思うことがありました。近くには、

古くからの名湯と呼ばれた俵山温泉があります。この温泉は水素イオン濃度が9.7

のアルカリ単授温泉系の温泉水ですが、当然のことながら、これとの比較がなされ

ることにあります。まずは、この油谷温泉水の水素イオン濃度は9.6ですから、この

イオン濃度においては大きな差異はありませんし、そのアルカリ度が高いことは、

それだけ身体に温泉水が浸透しやすいことを意味しており、両温泉水は立派な温

泉水といえます。

 次に注目したのが、ナトリウムイオンです。海のそばですから、皆生温泉や白浜

温泉のようにヌルヌルした体感を与える成分です。これが、俵山温泉寄りもかなり

多いのが特徴で、その分が、ヌルヌル感の違いになっていると思いました。

 第3が、さきほど「おやっ!」と思った成分のことでした。ここには、「メタケイ酸があ

るではないか」、これが、阿智村の昼神温泉水にもあり、ここに注目していましたの

で、そのことを告げると、みなさんはぱっと眼を輝かせたようでした。この成分は、

保湿性がよく、お肌にしっとり感が出ますので、注目に値する成分ですよと説明し

ておきました。

 これに関連して、昼神温泉の阿智川ホテル、湯ったりーな昼神などマイクロバ

ブル風呂の評判についても説明させていただきましたが、そのことにも大変興味

を抱かれているようでした。

                                              (つづく)

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