二日間にわたる講演会を終え、長岡から東京へ再び向かいました。出発は昼過

ぎでしたので、いつものように、好物の「柿の種(大粒)」、「笹団子」、そして富山の

「ます寿司」を買って新幹線に乗り込みました。ます寿司は、生産地に近いからで

しょうか、東京や名古屋で買うものよりも格段に味がよく、これが最高の駅弁ではな

いかと思っています。とくに、この日は、新しい学会講演会を成し遂げたこともあり、

格別の味わいでした。

 途中、越後湯沢では、昨日の大雪のせいでしょうか、すっかりスキーができるほど

に冠雪し、冬景色に戻っていました。

 東京についてからは、2つの重要な面談がありました。いずれもマイクロバブル関

連ですが、すこし突っ込んだ話になりました。とくに、後者においては、世田谷の方

で、昔、美空ひばりさんが住まれた家が近くにあったそうで、とても閑静なところに

案内されました。

 かなり前に、当時のソニーでロボット犬「アイボ」を開発されていた土井さん(現在

は「天外」というペンネームのようですが)が、大変面白いことを次のようにいわれ

ていました。

 「新しい開発をしていて、それがうまくいく時には、ある困難があっても、それに直

面すると、ふしぎなことに、その困難の扉が自動的に開いて、新たな重要人物が、

その扉の向こうに待ってくれているんです。ですから、何も恐れず、心配することは

ないのです」

 この世田谷行きは、どうも、この指摘に近いことが起きたのではないかと思うよう

になりました。

 その天外さんが、つい最近また、大変面白いことをいっていました。かつてのソ

ニーでは、10年に一度ぐらい、面白い商品が出ていたが、それが最近はなくなって

しまったといい、その理由は、ソニーが「燃える集団」ではなくなったからだというの

です。

 かつては、20名の「燃える集団」で、それらが会社にいわれなくても助け合って開

発に取り組んでいた、ところが、それがなくなったしまったというのです。

 そこで司会者が、たとえ燃える集団が収益を稼いだとしても、せいぜい数百倍で

あり、それ以上にはならないのではないかと、困らせる質問をしました。ところが、

彼は、その質問にも、さらりと次のように返答しました。

 「そんなことはありません。『燃える集団』ができると、その効率は軽く数千倍、数

万倍になれます。その差は、独創性があるかないかであり、すばらしい独創性があ

れば、軽く何万倍にもなりますよ」

 こうなると、要は、「燃える集団づくり」ができるかどうか、その先頭に立つならば、

自ら燃えることができるかどうか、このいかんにかかわる問題といえそうです。

 この日は、その閑静な住宅地で、互いに燃え立つような出会いと話し合いがあり

ました。夕方の6時から夜の10時近くまで、あっという間の4時間でしたが、思いで深

い一時を過ごすことができました。その私の相手は、若くして、アメリカ、イギリス、

スイスで活躍され、自ら仕事を開拓された方で、今の経済大国日本の国づくりを文

字通り、担ってこられた方のようでした。

 おまけに、大変なワイン通、私も、ドイツ滞在時には、美味しいワインを求めてワ

インショップに通ったことがありますので、出された2000年のワインが特別のもので

あることを理解することができました。自然の味で、独特の風味があり、ほどよく酔

いが周るワインでしたので、それが互いに燃え立つ議論に、とても有効に作用した

ようでした。

 この歓談を踏まえ、これからそれ以上に燃え立つ人間になり、新たな研究開発に

取り組むことを決めさせていただきました。

 これも、マイクロバブルのおかげであり、深く感謝させていただきました。

                                         
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