第3は,マイクロバブルの物理化学的特性が,マイクロバブルの発生方式や装置

に依存して変化することにあります.たとえば,私どもが開発した「超高速旋回式」

と呼ばれる装置と「加圧溶解式」と呼ばれる装置とでは,それらから発生するマイク

ロバブルとマイクロバブル水の性質はまったく相反します.水道水においては,前

者は後者に対してマイクロバブルの負電位が大きく,マイクロバブル水において

は,前者は弱アルカリ化,後者は酸性化の傾向を示します.そして決定的なのは,

加圧溶解式では,血流促進などの生理活性現象がまったく発生しません.

 また,ここで超高速旋回式であれば,すべて良いのかといいますと,そうではな

く,この点についても次の要注意が必要です.

 どうも巷には,単に液体を高速で旋回させれば,それだけでよいと考えておられ

る方がいるようです.そのような装置の特徴は,装置本体の一部に空気を注入す

るところがないことにあります.装置を眺めて,どこから空気を入れるのだろう

と探してみてください.どこにも,空気吸入口がない場合が,それに該当します.

 先日も,このような装置に出会いました.その装置から出てくる「マイクロバブル」

とやらの水を透明のコップで見てみると,なにかマイクロバブルらしきものが見えま

した.素人目には,これも立派な微細気泡であると見えてしまいます.それを私ども

の装置と比較される方もいて,「見た目には違いがない」とでもいいたそうでした.

 「あなたは物事の本質を見た眼で判断するのですか」,このようにいいかけました

が,それは止めました.そして,次のようにいいました.

 「マイクロバブル技術は,何をしようとしているのか,その目的が実現されるかに

よって評価されるべきものであり,それは,マイクロバブルが出ていればよいという

こととは違いますよ」

 その時の目的は,あるものの洗浄と生理活性を起こすことでしたので,「それが

実現されるかどうかをきちんと確かめないで,見た目だけで判断すると失敗します

よ」といいました.また,「その空気吸入装置がない装置ですと,洗浄効果も生理活

性作用ももわずかにしか起こりませんよ.私どもの装置の空気吸入のコックを絞る

と,その装置に近い状態になりますが,その時には,洗浄も生理活性も能力的には

低い状態の傾向を示します.このような違いは,見た目では簡単にはわかりません

よ」

 こういうと納得されたようですが,見た目で判断したがる方は意外と少なくないよ

うです.

 それから,ついでに説明させていただきますが,装置内に空気自吸のない超高速

旋回式と呼ばれる装置においては,マイクロバブルの発生量も少ないのですが,そ

れを補強するためなのでしょうか,加圧溶解式を併用して,「白い泡」を出すような

装置があるようです.この装置は,加圧溶解装置といえるもので,おそらく,この

「白い泡」は,負電位が小さく,弱酸性を示す性質を有しているように思われますの

で,これについても正しい理解と判断が必要ではないでしょうか.

 重要なことは,単に旋回することではなく,そこに新鮮な空気を送り込み,液体と

の強烈な「せん断摩擦」を起こすことにあります.この空気吸入がない場合は,単に

液体に溶けていた空気が出てきたにすぎませんので,そのような「せん断摩擦」は

起こりません.ここにも注目する必要があります.

 大切な注目点は,装置の先端部に空気吸入口を備えたマイクロバブル発生装置

であること,ここに,超高速旋回式マイクロバブル発生装置の重要な特徴があるこ

とについてのご理解をよろしくお願いいたします.

                                        (この稿つづく)

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