一周年を振り返り,「マイクロバブル人」の話をすることにしましょう.その第1は,
「ゴールドクラウン」についてです.これは,昨年の8月に,山口県岩国市にある村
重酒造を訪問した時の記事が「きっかけ」になりました.なぜ,この用語にしたかと
いえば,この村重酒造がメインで出している酒が「金冠黒松」という名前でしたの
で,この二文字をとって,「金冠」すなわち,「ゴールドクラウン」と呼ぶことにしまし
た.当時は,これから,新しい酒をつくる,村重酒造だけでなく,山口県や日本の日
本酒業界を変えるような開発を行いたいという社長さんの話もあり,それにはどう
すればよいかを熱く議論させていただきました.
その後の経過は,6月20,21日に京都で開催される第8回産学官連携推進会議で
発表させていただきますが,その前に,その概略だけでもみなさんに披露させてい
ただきます.
まず,マイクロバブルのことをよく理解していただくために,酒造りに使用している
水を送付していただきました.酒造りには,よい水が不可欠であり,それが汲める
ところに酒屋が存在しています.酒どころと呼ばれる新潟や高知,そして広島で
は,おいしい水がふんだんに湧くところでもあります.しかし,その酒造りメーカーに
限って,よその水を飲むことは少なく,場合によっては,自分のところの水が一番お
いしいと思っている方もおられます.
そこで,送ってきていただいた水を「マイクロバブル処理」して送り返し,その味を
試していただきました.さすが,杜氏の舌の味は確かで,その水において重要な変
化が起きていることを確かめたようでした.ここで,第1回戦は私の勝利となりまし
た.そこで第二回戦が始まりましたが,それは先方からの次の要請で始まりまし
た.
「水の味が変わることは確かめましたので,今度は酒でマイクロバブル処理をよ
ろしくお願いいたします」
こういって大吟醸酒が送られてきましたが,それもマイクロバブル処理して送り返
し,これでも,こちらが大勝利となり,かれらもマイクロバブルのことを認めざるを得
なくなりました.この戦いにおいて,杜氏の果たした役割が非常に重要でした.水や
酒の味についてはプロですから,その重要な違いを見つけることができたからで
す.これができないと,「自分たちで飲んでしまって,おいしかったが結局違いがわ
からなかった」とか,「半分の人は違いがわかったが,もう半分はわからなかった.
さらに,それを送れ」ということになることが多く,ここには,ほとんど進歩の要素が
見られませんので,それで終わりになります.
ところが,村重酒造の場合は,そうではありませんでした.そこで,いよいよ重要
な第三回戦が行われることになりました.その舞台は,徳山高専テクノセンター室
で繰り広げられました.
(この稿続く)
コメント
コメント一覧
コメントありがとうございます.ご指摘の通りで,世の中には公表に至らぬことが少なくありません.それは,功を焦りすぎてかえって混乱させる,あるいは,あいまいするなどのことが多くあるからです.また,公表は,その世の中の進む状況に応じてなされるのが一番良いことです.マイクロバブル技術は,その適用範囲が非常に広く,そして既往の技術との融合も簡単に成し遂げますので,それらを総合的に発展させることは容易なことではありません.全体を俯瞰しながら,個別の作戦においてはち密に遂行していく,これが大切になります.そのためには,黒澤明監督が好きだった「天使のように大胆に,そして悪魔のように細心に」という精神で対応していくことが重要です.あなたも,この精神を学ぶべきであると思いますが,いかがでしょうか.
モットーは「人に優しく自分に甘く」です。大胆にして細心ですか・・・。日々、努力が必要ですね。
「明日は明日の風が吹く」という「ことわざ」がありますが,ほぼ同じ意味の言葉ですね.風といえば,映画「男はつらいよ」の「紫陽花の恋」の風談義を思い出します.風来坊の寅が風に向かって旅をするというセリフがあります.それに対して,陶芸家が,「その風丹後に向かって吹かんやろか」といいます.さあどうであろうかという顔をしながら丹後に向かう寅次郎でしたが,その渥美さんが好きだったのが,「風来坊」という言葉でした.若いころにアフリカに行き,遠いサバンナの向こうから吹いてくる風は,ビルの谷間から吹いてくる風とは違うということを強調されていました.おそらく,その風を直に感じていな
いと理解できないことだと思いますが,大変興味深い言葉だと思います.さて,そこで,未来に向かって吹き始めた「マイクロバブルの風」は,明日はどこからどのように吹いてくるのでしょうか.それは明日の風に聞いてみないとわかりませんね.「マイクロバブルの風来坊」,この旅日記もそうありたいと思っています.