K:第2の課題は,「食糧・バイオ」ですね.この分野では,最近になって「植物工
場」がマスコミに取り上げられるようになりました.
M:先日も紹介させていただいた日刊工業新聞の特集記事にもありましたように,
安全で安くて美味しい野菜を消費者のみなさんが望まれています.これを背景とし
て,それを工場として,つまり産業として,野菜を生産し,販売を行うというシステム
の開発が注目されるようになりました.
K:都会では,そのような野菜を食べるブームが起きているようですね.そのような
3拍子揃った野菜をつくることができるのでしょうか.私の聞いた範囲では,逆に,
美味しくなくて売れない,高いという話を聞いていますが.
M:そうです.東京のあるところでは予約をしないと食べに行けないところもあるそ
うです.それから,ご指摘のように,安全で美味しい野菜を低コストで大量に作る,
これが最大の課題になっているようです.
K:それを実現するための「ブレイクスルー」が必要なのですね.
M:この3年,㈱APJ(山根正義社長)と共同研究を行ってきましたが,それらの課
題を達成する方法を見出しつつあります.しかし,一方で,なぜ美味しいのか,若々
しく旬の野菜ができるのかなどの新しい課題を解明する必要性も生まれてきまし
た.
K:新しい野菜の科学ですか,それは,マイクロバブル技術をよく理解していない
と解明できない問題ですね.
M:その通りです.洗練された,マイクロバブル野菜についての「科学の目」が必
要になります.おそらく,今後の植物工場問題は,質的には,この問題が大きくク
ローズアップされてくると思います.また量的には,その生産量とコスト削減問題
の解決が必要になります.
K:全国各地に植物工場ができて,それらが日本の農業にもよい効果を与え,同
時に,消費者にとっては,安全で美味しい野菜を安く買って大量に大量に食べるこ
とができるようになるとしたら,これはとてもすばらしいことですね.
M:この技術においての最も重要な問題は,マイクロバブルが野菜の根を育てる
ということです.根が大きく育つようになれば,植物の土台ができるといいましょう
か,その土台づくりが大切だと思っています.これは,
K:ヒトも建物の土台もしっかりしていることが大切ですが,植物の場合は,その土
台が根に相当するということですね.根が立派に成長すれば,葉も茎も,それにふ
さわく成長できるということなのですね.
M:植物も例外なしということでしょうか.根がしっかり成長できないために,葉や
茎が育たないという事例が増えているのだと思います.酸性雨による土壌の酸性
化,農薬による微生物の死滅など,土栽培においては,少なくない困難な問題が
出てきて,そこで育つ植物も大変な状況になっているような気がしています.マイク
ロバブル技術を用いた水耕栽培の場合には,水槽がなく,パイプの中を常に循環
しているような状況ですから,そのムラがなく,ほぼ均一な栽培が可能となります.
また,無農薬で,無機肥料を用いますので,安全であり,さらに,溶液が腐敗しにく
いという利点があり,マイクロバブルはその特徴をさらに促進させる効果を発揮さ
せています.それから,収穫が年12回以上にもなり,これも,注目される理由のひと
つとなっています.
(この稿つづく)
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