日本経済新聞の「経済教室」欄に,「経済危機下の企業論」を主題とする記事が,

7月22日から3回連続で次のように連載されました.

 7月22日 「創造的破壊」の先兵たれ 伊藤邦雄(一橋大学教授)
 
 7月23日 ハイテク支援の強化今こそ 西沢昭夫(東北大学教授)

 7月24日 大学発の技術を起爆剤に 森下竜一(大阪大学教授) 

 いずれも,大変な経済危機の下で,ベンチャービジネスが総じて不振に陥ってい

るなかで,それらを踏まえて,より高次のベンチャーの「出番の時」が到来している

ことが強調されています.この危機を迎えて,だれもが「ピンチはチャンス!」といい

はじめましたが,そのピンチの本質を解明し,チャンスをどう実際に生かすか,これ

が問われているのだと思います.

 まずは,最初の記事から,その考察を試みることにしましょう.書き出しは,未曾

有のアメリカの金融危機のときに,彼がいたシリコンバレーでは画期に満ちていた

ということで,アメリカと日本のベンチャー事情の相異が紹介されていました.その

肝心の日本のベンチャーについては,次のように論じられている.

 「しかし日本の産業構造はそこまで大企業頼みなのか.大企業が沈んだら日本

経済が地に落ちてしまうほど,産業構造の多様性と奥行きが狭いのか.大企業と

は異なる生息圏にいるはずのベンチャー企業は米国のように,日本経済の蘇生

(そせい)力を担ってはくれないのだろうか.

 残念ながら答えはいまだノーである」

 そして,「この国のベンチャーはいまだ産業構造の一翼を担うレベルに到達して

いない」とされ,「日本経済の蘇生力」を担うどころか,「一翼」を形成することにも

なっていないという評価がなされています.

 あれだけ「手厚い支援」を行い,大学においては「1700」もの「大学発ベン

チャー」を発足させ,さらには,そこを中心にして年間4000~5000もの特許の申請

がなされているにもかかわらず,その「一翼」すら担う成果が生まれていないという

状況を,どう考えればよいのでしょうか,上記の米国との相異を含めて,この解明

は大変重要な課題であるといえます.

                                         (この稿つづく)

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