マイクロバブルを発生する方法はいくつかありますが,大きくは,次の2つに分け

られます.

 1)高速せん断式(こうそくせんだんしき)

 
2)加減圧式(かげんあつしき)

 1)は水と空気をいっしょにまぜて高速で回転(かいてん)させることを利用してマイ

クロバブルを発生させる方法です.空気は水よりも軽(かる)く,反対に水は空気よ

りも重いことは,よく知られていることです.その重さのことなるものをいっしょにして

回転させたらどうなるでしょうか.重い水のほうには,遠心力(えんしんりょく)がは

たらきますので,外側に広がろうとします.ヒモで石をむすび,それを回すと,石は,

外にとび出そうとします.その力のことです.

 はんたいに,かるいほうの水はどうなるのでしょうか.これは,ろうそくの火を用い

てよくせつめいをすることにしています.手に火をつけたろうそくをもってイスにすわ

ります.それをもったままでイスを回転(かいてん)させると,どうなるでしょうか.そ

の炎(ほのお)は,内がわにむかってかたむきます.これは,空気よりもかるい炎

(ほのお)のほうに,回転(かいてん)することによる力が生まれ,それが内がわに

はたらくからです.この内がわにはたらく力のことを向心力(こうしんりょく)といいま

す.

 すなわち,より重い水には遠心力がはたらき,同時により軽い空気には向心力が

がはたらくことによって,回転する容器(ようき)のなかでは,その中心部分(ぶぶ

ん)に回転する空気の空洞(くうどう)が生まれます.また,その外がわには,回転

する流体(りゅうたい)が形成(けいせい)されます.つまり,サイダーのカンのなか

で水と空気がいっしょに回転し,その中心部で空気の柱のようなものができている

ことが思いうかべていただければよいとおもいます.

 しかし,これだけでは,マイクロバブルは発生しません.ここに,次の2つのとくべ

つの技術を加えました.

 そのひとつが,回転数(かいてんすう)です.水と空気をいっしょにしてとても速(は

や)く回転(かいてん)させたのです.その速さは,なんと1秒間(びょうかん)におよ

そ500回だったのです.この速さには,わたしじしんもびっくり(吃驚)しました.水と

空気をまぜて,このように高速で回転させたことは,それまでに世界中でだれも

行ったことがなく,初(はじ)めてのことでした.

 そこで,「高速せん断方式」という名称を,「超(ちょう)高速せん断方式」という名

前に変更しました.時計が「カチッ」と1秒動く間に,500回もまわるのですから,ふつ

うでは考えられなほどの速さといえます.もちろん,このように水と空気を高速で

回転させたことは,世界じゅうでだれも行ったことがありませんでしたので,はじめ

てのことだったのです.こうして世界初のマイクロバブルが誕生(たんじょう)しまし

た.1995年の秋のことでした.

                                          (この稿つづく)
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