15年ぶりの冷夏だそうで,梅雨明けがない地域も出そうだという不順な天候が続

いています.いつまで経っても,あのカラッとした夏の青空が見えてきません.いっ

たい,どうしたのでしょうか.災害が続き,野菜が育たず,価格の高騰が始まってい

ます.

 しかし,そんな暗雲を吹っ飛ばすような朗報が島根県松江から届きました.じつ

は,昨年の夏以来宍道湖漁協青年部のみなさんと共同で,宍道湖での現地実験を

継続してきました.すでに,その報告を何度か行っていますが,この夏場に向けて,

水温が上昇するとともに,シジミの成長率が上昇し,マイクロバブルの効果が徐々

に現われていました.

 ところが,今度は,産卵が起こり,シジミの稚貝がマイクロバブル水槽に発生した

というのです.これは,隣のマイクロバブルがない水槽では起こっていないことでも

あることですから,とても重大なことといえます.つまり,起きたことは,マイクロバブ

ルでシジミの成長,産卵,飼育が可能になったということなのです.稚貝の発生量,

産卵した貝の種類や大きさなど,いろいろな条件を調べる必要がありますが,その

産卵から稚貝が生まれたという事実は,非常に重要な出来事だといえます.

 この話を聞いて,有明海の浜で,マイクロバブル発生実験を継続して行ったとき

の次の事例を思い出しました.

 ①アサリの稚貝が大量に発生した.発生装置よりも少し離れた地点で浜を掘ると

多数のアサリの稚貝を観察することができた.

 ②浜中が岩ガキで覆われた.過去に,その浜では岩ガキが大量に発生したこと

はなかったそうである.

 とくに,この②の状況は,数百メートルにわたって出現していましたので,生物の

産卵力はすごいなと思いました.同時に,マイクロバブルを発生さえ続けた浜に夜

いくと,そこは海洋生物の極楽かと思えるほどに,たくさんの生物を観察することが

できました.

 近々,この様子を見に行きたいと思っていますが,これが確実であれば,宍道湖

のシジミ養殖業者のみなさんにとっては,希望ともいってもよい灯がともされたこと

になります.宍道湖では,少し前に大量斃死が起こり,その傷を回復するまでに

至っていません.なかなかシジミが育たない,生まれない状況のなかで,それとは

逆の現象が起きたのですから,それは驚くべきことといえるのではないでしょうか.

 ちょうど1年前に,宍道湖漁協の青年部の方々が大挙して私の研究室に来られて

から1年が経過しましたが,その間,マイクロバブルを継続して供給してきたことが,

それにふさわしい成果を生み出してきたのです.これで,ますます目の前がぱっと

明るくなってきたように思います.継続は力といいますが,この場合は,継続すべき

はマイクロバブルともいえそうです.

 本日も,宍道湖では湖面に夏の風が渡っていることでしょう.マイクロバブルで,

その風の中に,さらに希望の香りが増えるとよいですね.

                                         (この稿つづく)

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