「生成期」にあるマイクロバブル技術を、次の「発展期」に確実に移行させるには、

それにふさわしい「ブレイクスルー技術」が必要となります。改めて、ブレイクスルー

技術の定義を示しましょう。

 「人々の生活や社会の産業を一変させることを可能とする技術」

 「心の奥底の琴線に触れる重要な何かを有する技術」

 「『いのち』と『こころ』に根ざす技術」

 このような技術の実現は、なかなか容易ではなく、ましてや、昨今の世界的経済

危機のなかで、社会経済が落ち込んでいるときには、なおさら厳しいことになりま

す。

 しかし、一方で、私にとっては、このブレイクスルー技術にもっとも接近できるの

は、マイクロバブル技術であると思って、その可能性を粘り強く追求させていただい

てきました。

 その基本的理解と信念には、微塵の変化もありませんが、その実現が容易でな

いことだけは、日増しに、より明らかになっています。

 じつは、そのことに関連して、私は、2007年12月に名古屋大学で開催した第3回

マイクロ・ナノバブル技術シンポジウム以降、主な学会活動を停止して、自らの研

究活動にひたすら徹する日々を過ごしてまいりました。その理由のひとつが、上記

のブレイクスルーを真に開発することの困難を自覚したことにありました。「この際、

少し落ち着いて自らの課題に真剣に取り組みなさい!」という啓示があったような

気がして、それに従ったほうがよさそうだとも思ったからでした。

 おかげで、それからの日々は、じつに変化に富む充実したものとなり、その一部

をまとめることができました。そう遅くない時期に、その成果を披露する機会にも恵

まれるかもしれません。その際には、それが本物かどうか、その真価も問われるこ

とになりますので、どうか、よろしくお願いいたします。

 さて、北の大地の二日目は、朝から講演のための準備を行い、それが一段落し

て、北大名誉教授のH先生に連絡し、お昼を一緒にしていただけることにしました。

4年ぶりの再会で、その間のマイクロバブル技術の進展に目を丸くされていました。

今後、先生と協力して北海道プロジェクトを遂行していくことで共通理解を得まし

た。

 その後、駅構内の喫茶店で講演の準備を行い、それを済ませて、少し時間の余

裕がありましたので、久しぶりにデパートの商品を眺めてぶらりと歩きまわりまし

た。そこでは、みな秋の商品ばかりで、季節が早く進んでいることを理解させていた

だきました。めったにない、目の保養になりました。

                                             (つづく)

J0193302