その日本で最高と呼ばれる大学の教授は、有害気体を含む気体をマイクロバブ

ル化することによって、その気体を効率よく溶解させることで、その液体濃度を向上

させると、その影響でメダカは死ぬと考えていたようでした。ここまでは、正しく、こ

れもマイクロバブルに関する立派な「利用技術」と考えることができます。

 しかし、この意図は達成できたにもかかわらず、メダカは死ななかったのです。で

すから、「マイクロバブル発生装置がおかしのではないか?」としか考えられなかっ

たのです。正直にも、その企業の方は、そのままを報告するしかなかったのです

が、それを聞いて、その理由がすぐにわかりました。

 「たしかに、マイクロバブル化すると気体の溶解効率は高まりますので、メダカに

とっては死ぬ危険性が高まっていきます。しかし、マイクロバブルには、生理活性と

いう重要な性質がありますので、その危険度は高まっても、同時に、その元気度が

高まるので死ななかったのだと思います。そのマイクロバブルで生物が元気になる

ことを、お忘れになっているのではないですか?」

 こういうと、この企業の方は、とても驚かれていました。そして、「教授に報告して

おきます」といって帰られました。その後、この教授からも企業からも何も報告があ

りませんので、このクレームは一件落着となったと解釈させていただきました。

 簡単に、「利用する」ことだけを考えると、このメダカのようになるのだと思います

ので、ここで示された「教訓」には、とても重要なものが含まれているといえるでしょ

う。

 上述の「魚の研究か」、「マイクロバブルの研究か」には、このような本質的差異

があったのです。マイクロバブルのことをよく知らないままでも、その利用において

偶然に成功事例が生まれる場合もありますが、大半は、そうはいかない、それが今

の段階における自然のこと、普通のことなのです。その成功確率を高めるのには、

おそらく、10年、20年とかかると思いますので、まず「マイクロバブルの研究」を行う

ことが非常に重要なのです。まさに、「急がば周れ」です。

 「メダカ」か、「マイクロバブル」か、そのことが問われた2日間でした。

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