ゴルフ場の池では、菱の大群が出現したのに、今回の浄水場池では、その光景

は生まれませんでした。これで菱で池を覆い、アオコを減らしてやろうという作戦は

頓挫してしまいました。おそらく、このような浅知恵しか及ばなかったからだと思い

ます。おまけに、前回の写真で示されたように、その菱が虫食い状態になってしま

いました。おそらく、菱の成長よりも、虫の生育が勝ったからなのでしょうが、菱本人

にとっては、存亡の危機ですから、大変なことだったと思います。

 たしかに、連続して観察していますと、当初よりは、菱の生育範囲は大きくなって

成長はしているのですが、それには限界があったといわざるをえません。

 それでは、なぜ、池全体を覆うほどの菱の大群はなぜ育たなかったのでしょうか。

その原因解明が重要といえますので、この間に池で起こったことをすこし整理して

みましょう。

 まず、昨年の実験前との比較を行います。

 たしかに、昨年も菱は増えていて、マイクロバブルを供給すると、その群れがかな

り成長したので、これはもしかして池中を覆うほどに成長してしまうのかもしれない

という予測を持つほどになりました。しかし、その実験は、8月で終了しましたので、

それを最終的に見届けることができず、さらに、9月に入って、アオコもかなり出現

するようになり、これこそが問題でしたが、それについては実験終了後でもあり(他

の試験装置が稼働中)、結局は、観察のみに留まってしまいました。つまり、ア

オコと菱が同居していた、これが昨年の状況でした。

 ところが、今年は、その前者が出現せず、菱のみが昨年と同様に現れたのです。

しかも、その池は、2月、3月に工事をしましたので、2ヶ月間、完全に水位が下が

り、菱が育つ沿岸部は空気にさらされていたのでした。

 そこで何が違うかといえば、水の浄化の程度、つまり、きれいさが昨年とはまった

く異なっていました。その違いは、たとえば透視度では、2mも異なるほどのものでし

た。

 私たちが、最初に遭遇した菱の大群は、ゴルフ場の池の水質浄化がなされる過

程で発生したものでした。そして、今回の池における昨年と今年も、その浄化の過

程で菱が成長したことは同じですが、その浄化がさらに進むと何が起こるのか、こ

れについては未経験のことだったのです。この未経験ゾーンを探索するには、菱よ

りも以前に生息していた植物は何かを見出すことが重要になります。

 つまり、菱よりも、さらにきれいな水に育つ水生植物が育っているかどうか、これ

が謎解きの鍵だったのです。

 「そういえば、新しい水草の大群が現れている。昨年にはなかった植物だ!」

 このような観察がなされるようになりました。

                                              (つづく)

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