ある出版社の方とのホジュン談義と長岡技術科学の新原学長の「3i」理論に触発されて,ホジュンの「ひらめき(intuition)」について考えてみようと思いました.

 先日は,キュリー夫人の事例を参考にしながら,その「3i」理論の奥底を理解を,それらを学生たちに「教える」という行為を通じて深めてみました.

 今度は,それをホジュンに創造的に適用して,その考察をさらに深めようということですので,これは私にとって非常に魅力的な課題といえそうです.

 周知のように,ホジュンは韓国における「医の祖」と呼ばれる方で,一介の遊び人が苦労して医術を学び,最後は御医(王様担当の医師)にまで上り詰めていきます.

 この物語64話のDVDを何度も観ましたので,今では,そのほとんどは頭の片隅に残っています.それを取り出しながら,この考察を進めることにしましょう.

 ホジュンは,今でいう自治体の長である父親の妾の子として生まれます.その生い立ちがホジュンの成長に屈折を与え,いまでいう「悪」になっていきます.最後は,最悪の国禁といわれていた「密貿易」にまで手を出してしまいますので,相当な「悪知恵」の持ち主でした.

 しかし,そのために逮捕され,父親は自らの職を辞す覚悟で,その親不孝の息子を逃がします.逃亡先では頼りにしていた当てもすでに去った後で,ようやく,医院に勤めることができても,その最初の仕事は「水くみ」でした.

 何事も修行が必要ですが,誰ひとりとして,ホジュンの仕事の手助けをする人はいませんでした.なぜなら,新人とはいえども,それはライバルであり,他の使用人にとっては蹴落とすべき相手だったからです.

 この状況下で,ホジュンは自分で仕事をせざるをえないことを自覚しますが,それをどうしたらよいのかがわかりません.そして,水汲みで,大変な間違いを起こし,ユ医師に叱られてしまいます.

 それでも,叱られた意味がよくわからないホジュンでしたが,その後に,水には12種類があり,それぞれ使い方が分かれているという重要な処方があることを知ります.

 ここで,「無知ではだめである」ことを痛感します.学ぶことが,自らを助けることを知ります.そう考えると,その医院には,当時の最先端医術の様々がいくつも存在していたのです.しかし,知識なしには,それとて理解できないことでした.

 その後,ホジュンは,「水汲み」から「薬草採り」に移りますが,ここで,同僚の薬草採りから,ことごとく「嫌がらせや陥れ」を受ける日々を過ごすことになります.薬草でない植物を薬草と教えられ,目当ての薬草がない山に行って,その薬草を採れ,さらには,虎がいる山に行けとまでいわれます.

 その度に辛酸を舐めるのですが,同時に,そこで一つずつ「賢く」なっていきます.その賢さとは,彼らの蛮行に対する「対抗手段」を考えることであり,それを「逆転」させて「不利を有利に導く」ための「ひらめき」を得ることでした.

 長い目でみると,彼らの欲得や蛮行が,ホジュンを徹底的に鍛えたわけで,ここから,あのホジュンの強靭な意思力の形成が可能となったのです.

 (つづく)

J0438051