昨日の夜の懇親会の席上で,大変興味深い話を聞きました.それは,Hさんらが,最近北欧諸国を視察され,そのなかで,デンマークのある大学の学生育成システムに関することでした.

 この大学のドクターコースの学生は,大学と企業の両方から月額50~60万円の財政援助をいただきながら研究し,学位を取得していくというのです.授業料は,もともと学部段階から無料で,大学入試はなし,高校の成績で入学が決まります.

 学位は,大学と企業から選出された委員の両方で審査され,2つのそれぞれ性質の異なるものが出されているそうです.ドクターコースの学生は,企業から要請されたテーマで研究を行います.また大学修了後は,3年間のみ,その財政支援した企業での勤務が義務ずけられていますが,その大半は,それ以降も,その企業に残って働くケースが多いようです.

 また,その北欧視察国の一つであるとフィンランドは,人口が500万人ていどしかなく,周辺の国を含む世界の国々を想定した国家戦略を持った国です.ノキアは,その典型的な会社ですが,その携帯電話の分野での世界進出は,周知の通りですが,そこでも大学と企業が一体化した人材づくりがなされていたことを耳にしたことがあります.

 このような実践的で役に立つ人材づくりの必要性は,我が国においても最近強調され始めており,コラボ産学官が進めている「スーパー連携大学院」における「人づくり」についても相通じる部分があるのではないかと思います.

 このデンマークやフィンランド型は,国と大学,企業が一体となって人材づくりを行うことを必須としていますが,それをわが国に創造的に適用し,重要な成果を生み出すにはどのような知恵と工夫が必要であるか,大いに検討すべき課題であると思われます.

 また,このフィンランドでは,理工系志願者と文科系のそれが半々であり,この構造がわが国とはまったく異なっています.これも,国会政策のもとで行われている比率維持であり,それがほとんどなされていない日本とは大きく異なっています.

 わが国では,その理工系志願者の比率は,3分の1まで減少し,その歯止めはかかっていません.現代の若者の多くが理工系を志願しないのですから,これは国の土台を作る上で,非常に重要な問題といえます.

  わが国においても,この歯止めを行い,デンマークやフィンランド型へと移行していくことが重要です.

  国の土台作りとして,理工系と文科系の志願者を半々にする,これは,かつての日本が発展しているときに維持していた比率であり,これを可能とする日本にしていく必要があります.

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