一昨日,「ミルフィユのGさん」が約1年ぶりにやって来られました.久しぶりなので,研究室で2時間,二次会で2時間半と話に花が咲きました.

 さて,このGさんとは,広島カキ養殖改善の研究をしている頃以来ですので約10年の仲といえます.この間,多い年は年2,3回ほど来られ,いろいろな話をするようになり,とても親しくなりました.

 その彼が必ず持参してくるのが銘菓「ミルフィユ」であり,これは10年間にわたって守り続けられてきたことでした.こうして,そのお菓子を見るたびにGさんのことを思い浮かべるようになり,私も東京帰りにはよく買って帰るようになり,いつしか「ミルフィユのGさん」が定着してしまいました.

 そのGさん,年商7000億円もの大会社の技術部長であり,なかなかの専門的見識を持っておられ,学会や業界でも重要な仕事をいくつもなされている方でもあります.

 その彼が,1年ぶりにやって来られましたので,「お仕事の方はどうですか?」と聞くと,このところ「100億円規模の仕事があり,忙しくしています」という返事でした.

 「それはよいことですね.これからも明るいですね」というと,どうも顔が曇るような表情を見せたので,さらに「そうではないのですか?」と尋ねると,「このような仕事は何年に1回かの仕事なので,そんなに未来は明るくありません.むしろ,これからのことを考えると暗くなることが多いですね」と仰られていました.

 そうか,ここでも大変なのか,会社として,未来を切り拓くような新機軸はないのですかとさらに尋ねると,それを取り仕切る開発本部長と,ここに来る前に話してきたそうですが,その当人も元気がなかったとのことでした.

 日本を代表するような企業ですから,そのようなことでは困るのですが,国際的な経済危機の状況が状況ですので,そこから抜け出すことの重要性についても議論が進みました.

 そこで,最初に紹介させていただいたのが,ある大手建設会社が発行されている「環境アイランド GREEN FLOAT」というパンフレットでした.この構想は,「植物的な都市」,「赤道直下の快適環境」,「地球規模の環境・安全」を基礎概念として組み立てられ,構造的には「植物工場」,「海上都市」,「空中都市」,「陸の森」,「海の森」,「ビーチ」などで構成されています.

 このパンフレットを眺めて,Gさんの表情がみるみる変わっていき,次のようにいわれました.

 「昔は,みなこのような夢とロマンを持っていたのですが,今頃は,それがなくなってきました」

 こういう彼に,「じつは,私の仕事が,これらの内容において,そのいくつかにおいては少し関係してくるかもしれません」というと,ますます目を丸くされていました.

 そして,これらを含めたマイクロバブルの「夢とロマン」の話が弾みました.彼にとっては,それらが,約1年前に来て聞いていた話と相当違うので,「先生,1年間来ないと,ずいぶん話の内容が違いますね,相当進んでしまったのですね」という認識を新たにされていました.

 また,このような規模の企業が抱えている壁は厚く,しかも高いことから,それを打ち破ることを可能とする「ブレイクスルー」が質的にも量的にも必要であることを知りました.そのために,それが起こるための,「発明(invention)」に結び付く「ひらめき(ituition)」が重要であることを論じ合いました.

 こうして二次会でも大いに盛り上がり,最後には,Gさんから,「そこまでくると,先生は,それをやり遂げる責任がありますよ」とまでいわれてしまいましたので,私も,その水準の「ひらめき」を研ぎ澄まさなければならないと思いました.

 このGさん,「ミルフィユ」だけでなく,毎年の季節の頃になると「千葉の美味しい梨」を送ってくださる方でもあり,私からは,「Gさん,今日の話を踏まえて,これからのことをよろしくお願いいたします」とお願いしておきました.

  Gさんにとっては,久しぶりの訪室となりましたが,とても元気になって帰られたようで,この面談で小さくない「光明」を得たようでした.

 ミルフィユ,ありがとうございました.それをいただいた研究室の学生たちも大変喜んでいました.


J0390920 

BGM:宮良長包作曲「夕やけ」05 夕やけ