2回にわたって書かせていただいた立花隆さんの番組でしたが,とても印象深い内容を有していました.

 それは,「人類はなぜ,がんという問題を克服できないのか」という普遍的な問題設定をして,それに挑戦する正解の研究の第一線の成果を紹介しながら,その謎を考えていくというシナリオの「すばらしさ」にありました.

 しかも,未来社会においては科学技術が発展してがんの克服が可能となるという「甘い考え」や「漫然とした知識」を完膚なまでに打ち砕いていく「結論」の「すごさ」がみごとでした.

 「がんは,半分が自分で半分がエイリアンである」と表現する立花さんは,自らががんを患っていることを踏まえて,最新の研究成果から,「自分が生きている間に,人類が,がんを克服することはできないであろう」と予言します.

 その科学の成果からは,必然的に導かれる「結論」であり,「その事実と向き合うしかない」と悟ります.しかも,立花さんと同じようにがんを患う人は,これから「二人に一人」という割合になるというのですから,これは他人事ではありません.

 なぜ,このように,がん克服が困難なのか,その基本的理由として指摘されたことは次の2つでした.

 ①がんという病気は,生命誕生謎と深く結び付いている.

 ②がんは,正常な組織に攻め進む際に,従来の機能を屈服させてしまう,裏切り者である.

 これらは,生命の誕生の謎にも迫る壮大なスケールを有する「対抗軸」,そして,この裏切りを許さない機能を発揮させる「安全で確かな手段の確保」がなければ,その本質的な克服はなかなか困難であることを示唆しています.

 いずれにしても,人類は,これから,50年,100年と長きにわたって「がん」と付き合いながら,その克服法を探していくことになるということでしたので,そのような「覚悟がいる」ということでしょうか.

 そして,現在は,そのエイリアンの正体がわかればわかるほど,その撃退が難しいということが判明してきたという段階でしかなく,そのことをを考慮すると,それには,ますます,「本質的なブレイクスルー」が求められているということになります.

 考えてみれば,このような「厄介なもの」だけが大手を振って残り,闊歩しているのが21世紀でもあり,もともと私たちは,その困難を背負って「生きていかねばならない」という運命を持っているように思います.

 その意味では,「がん」だけが大変なのではなく,このようなエイリアンは,いくつも「うろついて」いますので,それらには,がんがん立ち向かうことができるようになる勇気を持つことが大切ですね.

 なにか,いろいろなことを考えさせられた3日間でした.

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