テレビ放送の番組も年末モードに入ったようですね.本日も,NHKスペシャルの興味深い番組が放送されるようで,それを楽しみにしています.

 昨夜も,継続中の実験の対応が深夜までなされ,学生たちの頑張りが続いています.

 この実験は,長期にわたってなされる予定ですが,その都度,状況を踏まえながら,どのような計測を行っていくか,その工夫問題もあり,ここが知恵のだしどころです.

 もちろん,この実験は,マイクロバブルの重要な特性に関するものであり,より深く,より本質的な解明を目指すことになります.

 さて,今年も,マイクロバブルに関する研究を続けてきました.この研究の特徴は,非常に分野が広く,かつ,個別の課題においても深いことにあります.

 ですから,この研究のジグソーパズルの謎が簡単には解けないのです.

 一見すると,小さな泡のことだから,今までの泡に関する理解の延長線上で考えればよいと思うのですが,そうはいきません.

 その物理化学的基礎において,従来の知識がほとんど通用しない要素があることに気づくからです.

 それでも,なんとか,マイクロバブルの優れた物理化学的特性のある一面だけを取り出して,自分の出会った現象との整合的な説明を成し遂げようとしますと,それは,ある程度可能なこととして前進を遂げることができるようになります.

 しかし,じつは,それからが容易でなく,現場の事例に依拠するのであれば,それらに精通しながら数を重ねて,そこから本質的な特性を見出して行く必要があります.

 しかも,その時に,その物理化学的特性においては,時には生物的特性も含めて,それをより深く本質的に究明していくことが求められてしまいます.

 その謎解きのジグソーパズルの世界が広く,深く,そして,固有の時空間特性まで示すようになりますので,これはなかなか容易ではなくなります.

 しかし,一方で,これらの現象の中には,お風呂,食べ物,飲み物,健康,美容など,身近な事例に関係することがいくつもあり,これらに出会い,相塗れるという独特の楽しさも生まれてくることがあります.

 これに関しては,昔,東京大学に寺田寅彦という有名な物理学者がおられました.この方の業績において何と言っても一番のものは,卑近な日常現象の物理のことをやさしく平易に説明して,物理学の普及に貢献したことにありました.

 上記の日常生活におけるマイクロバブル現象の事例は,この物理学的解説によく似ていますが,一方で,それが物理学だけでなく,化学や生物の分野にまでおよび,さらには社会現象にまで切り込んでいることに重要な特徴があります.

 たとえば,温泉や健康に関することは,その最後者に関係することですが,誰しも,ストレス過多の時代に生きており,それを解消してリラックスしたい,さらには,そのために健康を害してしまうのだったら,それを回避したいと自然に思うはずです.

 こうなると,マイクロバブルと健康の問題は,社会学の側面まで有するようになり,さらに,その基本においては,技術と文化に関わる要素を持つようになってしまいます.

 かつて,このような科学や技術の「一粒の種」があったかどうか,これは,どのように花開くのか,そして,どこまで広がっていくのか,なにか,途方もない何かを感じ始めています.

 このような問題意識を踏まえ,最近,日本高専学会誌に,「マイクロバブルのブレイクスルー(一粒の種が花開くとき)」という一文を寄稿させていただきました.

 高専という小さな職場で,マイクロバブルに出会ったこと,その誕生秘話や苦労を伴った初期の取り組みのことなどを書いていたら,案の上,すぐに紙数が足らなくなり,その後半部分は丸ごと残して終わるという結果になってしまいました.

 このマイクロバブルの「ブレイクスルー」,これがますます重要になりつつあります.

J0410635