5日の長岡着は、予定の16時を大幅に遅れ、17時30分となりました。まだ雪がたくさん残っていて、一面銀世界のところがいくつもありました。

  駅前のホテルにチェックインし、すでに到着街のお二人と懇談会場の「魚仙」まで行くことにしました。ここは何度かきたことがある店で、ご当地新潟の日本酒がずらりと並んでいました。

 そのうち、長岡技術科学大学側の先生も来られ、楽しい会話が始まりました。とにかく、私の前に座られた先生は、人並み外れた度量と鋭さを兼ね備えた非常に稀有な方ですので、普通では決して合わない話が合ってしまいます。

 このブログ上に何回も登場してきた「3i理論」の創始者でもあります。私たちを目の前にして、ややこしい仕事から解放されたからでしょうか、この方は、とにかくよくおしゃべりになり、それで疲労回復をなされているのかと思われるほど、口が滑らかになられていました。

 もちろん、それには、ご当地の新潟の酒が役立ったことはいうまでもありません。こちらでは、氷を入れた冷酒用の2合瓶に酒を入れて持ってくるようになっていました。

 さて、その酒の何を選ぶかですが、そのメニューを見て、その種類の多さに吃驚しました。その数はざっと40以上もあり、それが西と東で別れて記載されていました。

 そのなかで、西の横綱が「越乃寒梅」でした。一同、この横綱酒を飲んでみることで一致し、さっそくそれを注文していただきました。

 たしか、松本清張の小説のなかで、この幻の酒をめぐって殺人事件が起こったほどですから、大変な酒であることに間違いはありません。

 まずは、それを一口、やさしいまろやかさがなんともいえません。水のようにすっと口の中に消えていくキレも上等です。

 「さすが、西の横綱、それだけの美味しさがありますね」

 みなさん、そうだ、そうだとうなずかれていました。

 酒の本場の横綱ですから、美味しいのは当たり前、今では、全国のみさなんがよくご存知の名酒です。

 そうこういっているうちに、この二合瓶酒はすぐになくなり、今度は何にするかと聞かれました。あれだけ酒の銘柄がたくさんあると、なかなか決められないのでまごまごしていると、長岡技術科学大学の先生が、こういいました。

 「さきほどは、柔らかい優しい酒であったので、今度はインパクトがある強いものでいきましょう」

 「ああ、それもよいですね。お勧めは何という銘柄ですか?」

 「私の一押しは、『越乃影虎』です」

  今度は、寒梅の柔らかい味に対して、酸味と香りの強い個性的な酒でした。これで話の弾みがつきましたが、次々に出てくる魚料理も美味しくいただきました。とくに、タラの身と肝を醤油で甘辛く似た料理は最高でした。

 そのうち、この影虎の二合瓶もすぐになくなったので、長岡の先生が、次は何にしましょうかと尋ねてきましたので、今度は持参の村重酒造「錦」にしましょうといいました。

 早速、この「錦」を取り出し、氷で冷やしていただきましたが、その栓を開けたときに、この魚仙の亭主となじみの客に、この酒を飲んでいただいたようです。

 まず、ここで驚きの反応が生まれたと報告を受けました。その前哨戦で、酒にうるさい長岡人の度肝を抜いたのでした。

 氷で冷やされた「錦」が運ばれてきました。長岡勢は二人、そのうちの一人はとてつもない酒豪で、この方には、すでにこの酒を贈っていたので、「この酒は、他人には飲ませられない美味しいさを持っている酒だ!」といっていたそうである。

 その長岡勢に加えて千葉県からも酒豪が二人、その一人の先生とは、この30年来の長い付き合いの方であり、酒を飲むことをこよなく愛されている。

 さて、先に、「寒梅」と「影虎」を飲んでいましたので、彼らの反応がどうか、それを楽しみにしていましたが、その比較はすぐになされ、軍配は「錦」にあがりました。

 私も、その違いを確かめましたが、それは明白で、とくに酸味と香り、そしてキレにおいてとくに大きな差異があると思いました。

 事実は、こうして明確な差異を示しますが、「錦」が昨年度三冠を得た理由がこの事実にあったことをよく理解することができました。

 因みに、この「錦」は、昨年購入したものであり、この第1期の「錦」は、すでに売り切れて、どこにもなく、これが最後の1本でもありました。

 この酒の抜群の効果もあって、話は、高専と長岡技術科学大学がしっかり連携しながら、双方が発展していくことに関して展望ある歓談を行うことができました。

 楽しい酒を飲み交わした、とても明るい夜となりました。

 

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