本日は,新年度における最初の授業がありました.そのテーマは,「心に火をつける」でした.

 どのようにしたら,彼ら,彼女らの「心に火をつける」ことができるのか,その問題提起を素直にさせていただきました.

 これは,ある教育学者が述べた有名な言葉ですが,学生たちに,「ただしゃべる」だけでなく,「理解させようとする」だけでなく,そして,「自らやってみせる」だけではない,もっとも「高次の教育的目標」とされています.

 この数年,このテーマが非常に気になって,この実践をどのようにすればよいのか,そのことを考え続けてきました.

 これから1年間,授業という本番の舞台で,より具体的に,この主題を実践的に追及してきました.今年も,その教育的研究をさせていただきたいと思います. 

 ところで,学生たちの心に火をつけるというからには,まず,自らの心に火をつけていなければなりません.それなしでは偽りになりやすく,そして,すぐに色あせた嘘になってしまいます.

 また,この実践の場は,教室だけに存在するものではなく,地域や社会のなかで,そして,世の中や時代に「心に火をつける」ものが分け隔てなく必要とされるものです.

 自らがわくわくし,勉強しなさいと言われなくても勉強する,夜遅くなるまで勉強し,そして朝早く起きても勉強したくなる,このような心境になることです.

 そして勉強した成果が実り,それが喜びになっていくことを自覚できようになることでもあります.

 さらには,研究という分野においては,新しい「社会的経済的価値」を創生し,社会の困難な問題を解決することで,さまざまなブレイクスルーを引き起こすことによって,桁違いの富や幸福を生み出すことが必要とされるようなものではないでしょうか.

 このような勉強,研究,社会的実践に参画できるときに,人はわくわくし,その心に火が灯されるのではないでしょうか.

 その意味で,今の内向きで元気が出ない日本社会においては,人々の生活や産業を一変できるほどの力を有する「ブレイクスルー技術」の出現が望まれています.

 その内需においても,そして新たな外需においても,十分に対応できる「重要な何か」を持つブレイクスルー技術があるのではないかと思います.

 そのブレイクスルー技術に発展する可能性を有しているのがマイクロバブル技術です.この技術,あまりにも広い分野において適用が可能ですので,全体としては,あるものを先端的に突き抜けるようには見えにくいという特徴を有しています.

 同時に,生活や産業の中に入って内在化されますので,それだけ確実ですが,外には,徐々にしか拡大していきません.

 さらに,それを開発する側の問題としては,個別の専門科学や技術に留まるだけではほとんど通用しないという実態があります.開発側にも,マイクロバブルにふさわしい総合的な「開発力」が要求されてしまうのです.

 ここには,優れた直観的洞察(intuition),すなわち,優れた発明(invention)に結び付く洞察が必要となります.そして,その発明は,大規模なイノベーションに結び付いていく底力を有していることが重要です.

 これこそ,100年に1回の直観的洞察,優れた発明,それらに支えられたたくましいイノベーション力が求められているのではないでしょうか.

 これらを実行するには,その集団が燃える,つまり,心に火をつける必要があります.

 逆にいえば,心に火をつけることさえできれば,彼ら,彼女らは,永遠に燃え続けるのですから,ここに,その重要な分かれ目ができます.

 この道を歩み,その課題を追及することは,一見,とてつもなく遠いことのように思われます.また,「そんなことはできっこない」と思われがちです.

 しかし,心に火がついている,あるいはつこうとしている人たちにとっては,それはどう思われようと,あまり関係ないことになります.

 さて,つい最近,研究の分野で,そのわくわく感が出てきているような気がしています.これは,昨年夏以来の「できごと」であり,それ以来,挑戦してみたいと思っていたテーマの一つでもありました.

  昔,テレビでよく見た人形劇の主題歌のなかに,つぎのようなフレーズがありました.

 「丸い地球の水平線に きっとなにかがまっている」

 ここでは,島が流れていくのですから,すごいブレイクスルーの概念ですね.かれらは,海のなかを進む島に乗って,きっと,心に火を灯していたにちがいありません.

 島を流す,これはとてつもないすごい話ですが,時が過ぎて,そのようなアイランドづくりが計画されようとしているのですから,これも時代における進歩なのですね.

 水平線の向こうから彼らの元気の良い声が聞こえてきそうです.

 「進め! 進め!」

J0446268