H4さんの入浴が自然に進められ、重要な体験へと接近していく様子が、その「体験記」から見てとれます。

 入浴を開始されて12日目の日記に初めて登場してきた用語が「ここちよい」であり、マイクロバブル風呂に入ると、この気持ちが湧いてきます。

 続いて、「身体の芯までしっかり温まる」とも述べられています。

 つまり、ここには、「ここちよい」、「芯まで温まる」という2つの重要な「キーワード」が指摘されます。

 まずは、前者からの解説ですが、この「ここちよさ」は、どこで認知するかという問題です。当然のことながら、それを知覚できるのは脳です。

 つまり、マイクロバブルのお風呂に入ると、特別に、入浴者の脳が「ここちよい」と自覚するのです。これは、どのような経路で、そのような自覚にいたるのでしょうか。

 それをつきとめようとすると、はたと困ってしまいます。そこで、困ったままでは仕方がありませんので、ここで知恵を働かす必要があります。

 その知恵とは、マイクロバブルがない風呂での入浴と比較すればよいというものです。

 この体験的学習、つまり、マイクロバブルの有無で、その「ここちよさ」において何が違うのか、それを見分ける体験を繰り返し行うことで、それがしだいに明確になっていきました。

 その比較学習において最も優れていたのが、長野県阿智村昼神温泉の村営入浴施設である「湯ゆったりーな昼神」での入浴でした。

 内湯には、気泡風呂、外の露天風呂にはマイクロバブルが設置されていて、すぐに、その比較が可能となりました。

 まず、マイクロバブルの露天風呂にたっぷりと入ります。そうすることによって、体感した「ここちよさ」を記憶したまま内湯に入ることができます。

 この場合、そのことを自覚しないで、ただ漫然と入ってしまうと、その比較を正確に行うことはできません。

 そこで、内湯に半身浴状態で入ります。すると途端に、その記憶にあった「ここちよさ」が消え去り、「あれっ!」と思ってしまいます。

 最初は、注意深く比較しようと思いますので、じっと入って神経を張り巡らします。

 「確かにちがう、いや、まちがいない」

 この違いがわかると、次からは、その違いが「すぐにわかり、大きな違いとして認識できるようになります。

 「これは、まったく違うものだ!」

 そして、その違いは、入浴行動としても明確な相違になって現れます。

  その相違とは、入浴時間の差異であり、マイクロバブルなしの気泡風呂だとおよそ4、5分程度で、そこから出たくなり、実際に出てしまうのです。

 これには、入浴温度が41℃であることも関係しています。正確に言うと、「ここちよさ」を味わうことができないので、入浴がほとんど「ただ温める」という行為になってしまうからなのです。

 どこの温泉においても、「お湯にゆっくり浸かっておくつろぎください」といわれると思いますが、それは、その温度調節のためにできなくなっているのです。

 これは、おかしなことなのですが、それがどこでも出会う現実なのです。

 私は、このマイクロバブルなしの風呂での4、5分入浴問題を何度も確かめましたが、ここちよさが生まれてこないために、すぐに出浴してしまう、これがほとんどの方々に共通する行動パターンでした。

 ところが、逆に、マイクロバブル入浴ですと、連続して「ここちよさ」を感じ続けることができますので、4、5分どころか、20分、30分、1時間と長時間入浴をするようになるのです。

 ここちがよいために長時間入浴がなされる、これは至極当然の行為といえます。

 ですから、H4さんが入浴12日目にして、この「ここちよさ」を味わうようになったというのは、マイクロバブル入浴の本質的理解を始めたことを意味していたのです。

 H4さんの場合、自然に、この現象に到達したことがよかったと思います。逆に、別の先入観を抱いて入浴してしまうと、なかなか、ここまで認識できずに、その効果を理解できないこともあるようです。

 次は、身体の「芯まで温まる」という問題ですが、それは次回に述べることにしましょう(つづく)。

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