マイクロバブル技術の特徴は、その適用分野がとても広いことにあります。それゆえに、それが広がる過程で、未知の新たな課題に遭遇することが珍しくありません。

 この場合、たいていは、外から持ち込まれることが多いので、今となっては、このような機会に恵まれることがとても大切だと思っています。

 「これはよいことを聞いた。なるほど、そうだったのか」

 「それを解決することは社会的に重要な課題ですね。その課題解決は重要な研究テーマですね」

 しかし、最初のころは、とても、このような前向きの理解をする余裕はありませんでした。

 「専門外のことですので、よくわかりません。こちらでいろいろ検討してみないと、なんともいえません」

 かつての未熟な私の脳裏には、いつも、このような思いが浮かんできて、前向きにとらえることがなかなかできませんでした。

 試練に正々堂々と立ち向かうことができなかったのです。

 その最初の試練は、マイクロバブル発生装置の開発の時でした。振り返れば、その開発依頼は、地元の中小企業の社長さんからなされました。

 この依頼を受けて、その開発に懸命に取り組みましたが、それは簡単なことではありませんでした。開発の経験も能力も持ち合わせていなかったからでした。

 しかし、容易にはあきらめずに粘りに粘って開発を持続させていただいたのがよかったのだと思います。

 しかも、みなさまの知恵も借りながら改良に改良を重ねて今の装置が完成したのが、1995年のことでした。

 じつに、その依頼を受けてから十数年の歳月を経てのことでした。

 これは、私にとっての一つの重要な「試練」でしたが、それを放棄せずに粘り強く追求したことによって、その「おまけ」を身につけることができるようになりました。

 その「おまけ」とは、その後も不断に装置開発に取り組めるようになったことでした。

 幸いにも、その試練のおかげで、装置開発を行うことを習慣化することができるようになったのでした。

 先日、ある人から手相を見ましょうかといわれ、手を差し出しました。そしたら、いきなり、「あなたは、発明なされている方ですね」といわれました。

 「なぜ、わかるのですか?」と尋ねると、これが「発明の線」だというので、手相をよく見ると、両手に、その線がくっきりと出ていました。

 この手相判断を、そのまま信用するわけではありませんが、それを前向きの励みにしていきたいと思います。

 今後も、優れた装置開発が、いかに行われるかが問われることになりますね。

 次の試練は、広島のカキ養殖に取り組んだときに訪れました。このときは、前年に赤潮で全滅していましたので、私もいつになく緊迫感を抱いて取り組むことになりました。

 直接のきっかけは、大学時代の友人から、「専門家だから、なんとかしろ!」といわれ、重い腰を上げて取り組むことにしました。

 このとき、ある方から、「海水マイクロバブルはすばらしい」という報告を受け、それを自分の目で確かめてみたところ、その通りでしたので、それを試してみようかという思いが湧いてきたこともありました。

 こうして、社会的にも小さくない現象に立ち向かうという「試練」に遭遇することになりましたが、その後は不思議と気分前向きになり、事が進んでいきました。

 この社会的試練が、その後の取り組みを特徴づけていきました。私も、いろいろと勉強させていただきました。時には、いろいろな理由で悔しい思いをしたこともありました。

 しかし、試練のがいろいろなものが鍛えていきました。その後の北海道のホタテ養殖、三重県の真珠養殖においてもまったなしの試練があり、マイクロバブルの真価が問われ、結果的に重要な改善がなされることになりました。

 これらの試練の経験と実績を踏まえ、近頃は、「むずかしいことこそ、マイクロバブルの出番ではないか。躊躇や逡巡をするよりは、実際に試してみるほうがよい」

こう思って自然に対応しています。しかし、必ずしも、思った通りにならないという別の人為的作用もあり、まだまだ経験不足があるのかなと反省させられることもあります。

 それでは、そろそろ、この最近において、「試練のマイクロバブル」として取り組まれている事例を具体的に紹介させていただくことにしましょう。

 その第1は、すでに述べた植物工場づくりに関するものでした。その第2は、ヒトの「手」についてであり、これにもいろいろな「試練」がありました(つづく)。

  J0431717