周南市大華中学校3年生を対象とした出前授業の続きです。

 土砂災害の様子や映像を見ていただいたこと、そして私どもの「水の恐ろしさ」に関する体験談を述べると、生徒のみなさんは、幾分緊張気味で聞いておられました。

 その「第1部」が終わり、実際に体験的実験を行うようになると、その緊張感が徐々にほぐれてきました。

 授業は6班編成でしたので、各班ごとに、「実験をやりたい班は、手を挙げてください!」というと、徐々に勢いよく手が挙がるようになってきました。


 3.トリチェリーの実験

 これは、トリチェリーささんという方が行った実験です。円筒形の水槽に、それぞれ高さの異なるコックが5つ設置されており、このコックを合図とともに一斉に開き、そこから出てくる水をコップで集めます。

 当然のことながら、下にあるコックから水の方が勢いよくでますので、コップに溜まった水の量も多くなります。5人で一斉にやるところが重要で、何回か繰り返さないとうまくできません。

 今回は、実験の前に、合図の声を出してもらいましたが、これもなかなかそろわず、3回目ぐらいにやっと意気が合いました。

 このとき、みんなで実験をやるという意思が現れたので、「このシーンがとてもよかった」と、参観された校長先生が仰られていました。

 そこで、5人のコップを示していただき、流量の違いを見せていただきました。たしかに、より下にあるコックから出された水ほど流量が多かったことが明らかになりました。

 この流量から、速度を出し、流しだす前の水の深さを測って、このhと速度Vの関係を導いたのがトリチェリーでしたが、この関係をグラフ用紙にプロットしていただくことは、その班の宿題にさせていただきました。

 この実験を通じて、みんなのまえで楽しく実験を行う、この姿が少し垣間見えるようになりました。

 さて、ここで教師側の問題として、きちんとした実験装置を製作する重要性があります。

 トリチェリーは、下部に穴を一つ空けた状態で、水位を変えて実験を行ったのですが、ここでは、比較的大きな水槽に、その位置を変えて5か所のコックを設置し、それぞれから一斉に水を出せるようにしました。

 5人が一斉に協力して行う、ここが非常に重要な体験になるのです。

 こう考えますと、まずは、しっかりした教材としての装置づくりを行い、その次には、その教材を活かした実験手法の開発などが非常に重要であるように思われます。

 これで、生徒のみなさんとは、ますます、打ち解けて、私たちとの距離が短くなっていきました。

 「むずかしいことをやさしく」、そして、「やさしいことをふかく」、これらを理解していただく「体験的学習」が徐々に進行し始めました(つづく)。


J0440102