昨日に続き、東京ビッグサイトの「危機管理展」に参加したときの、ポスター・パンフレットの内容を紹介させていただきます。

昨日は、マイクロバブルを与えたときにカキが大きく口を開けた話を解説しました。

周知のように、水道の蛇口をひねって開けると、水がたくさん出てきます。さらにひねると、その流量も増えます。

これはなぜかといいますと、水道水は、常に一定の圧力がかけられていて、そのために、蛇口をひねって開けるとより多くの水道水が出てくるように仕組まれています。

それではカキの場合はどうでしょうか?

カキの口がいつもよりも3倍大きく開いたのですから、それだけ多くの海水を取り込むことができるのでしょうか。

海水の中には、餌となるプランクトンが含まれていますので、多くの海水を取り入れることができれば、それだけ多くの餌を食べることができて成長できるということになります。

となると、それを可能にするには、上記の「圧力」が問題になります。カキの場合は、その圧力に相当するものは、海水を吸い込む力になります。

カキにおいては、その海水を吸い込む原動力は心臓から生み出されます。心臓があるのであれば、血液もあるはずと連想されるはずです。

そうです。カキにも血液に相当するものがあり、それは海水です。

動物においては、ヒトの血液のように閉ざされた空間で流れる閉鎖系循環と、カキのように外部の海水を取り入れて再び外部に放出する開放系循環の2種類があります。

カキの場合、吸い込まれた海水は鰓の部分に導かれ、ます、海水中の溶存酸素を取り入れ、呼吸を行います。また、その後、その海水は心臓に送り込まれ、血管を通じて外部に放出されます。

この過程で、餌を取り込み成長していく仕組みになっています。

ですから、しっかり溶存酸素と餌を吸い込むには、海水を心臓に送り込み、同時に放出させる力が強くないと、多くの餌を取り込み成長するという機能を十分に働かせることはできません。

その意味で、単に大きく口を開けるだけでは成長には結びつかないのです。

カキが成長するには、餌であるプランクトンをたくさん摂取することが必要になります。

たとえば、広島で最良のカキといえば、地御前カキとよくいわれていますが、ここの水域には餌となるプランクトンがたくさん生育しています。

成長の決め手は、餌となるプランクトンの多さであると考えられていたのでした。

そこで、これまでよりも3倍大きく口を開けて、これまでと同じ吸い込む力で海水を吸い込むと、3倍の餌を摂取できることになります。

仮に、吸い込む力が2倍に増えると、その餌の量は6倍に増え、すなわち成長力が6倍に増加することになります。

実際、マイクロバブルで3倍開口したカキが、みるみるうちに成長を遂げ始めました。同じ水域で比較しても明らかにマイクロバブル供給カキの方がより大きく成長していました。




この図からも明らかなように、これまでの広島養殖カキの成長は、その殻長において1カ月に約1㎝伸びるといわれてきました。本図の点線がそれを表しています。

ところが、マイクロバブルの場合は、これとはまったく異なっていて、気温が上昇する6月から7月にかけて、その殻長が急激に増加しています(図中の●実線参照)。

これらの曲線の勾配を比較しますと約3.5倍の相異があります。

このことから、カキの急成長には、マイクロバブルによるカキの開口によるプランクトンの取り込み増加が関係していたことが推測できます。

なお、図中の■実線は、マイクロバブル非供給の宮城産のカキの成長曲線であり、その筏は遠く離れたところに設置されていました(つづく)。